
弁理士の実務が上達しない・・・
実務が上達するにはどうすればいいの?
こうした疑問に答えます。
弁理士の実務は、ほぼ以下の3つです。
- ⓵特許出願の申請代行。特許明細書を書く。
- 特許明細書って何?って方はこちら。
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特許明細書とは何か!?弁理士志望者向けに解説
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- ②特許出願の中間の手続き。
- ③商標出願の申請代行と中間の手続き。
今回話す内容は⓵と②です。
③については、「先輩弁理士に教えてもらう」「弁理士のe-ラーニングの商標関係の実務講座を受講する」などで対応できると思います。
筆者は勤務時代はほとんど商標を担当することがなかったのですが、独立して先輩弁理士に教えてもらってうまく対応することができています。
ただし、⓵と②についてはなかなか身につきにくいと思うので、筆者が実務を身につけてきた経験をふまえて上達方法を解説していきます。

この記事を書いている人
- ①弁理士試験(短答・論文必須・口述)1発合格
- ②特許事務所を独立開業。特許事務所サイトはこちら。
- ③現在、2021年公開商標公報事務所ランキング第11位(京都第1位。関西第2位)←NEW(2021/2/5)(https://jp-ip.com/ranking/35733/2)
- ※資格勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
- 弁理士の勉強法は「弁理士試験の勉強時間を1,500時間で合格するための勉強法」の記事で解説。
1.弁理士の実務を最短で身につける方法はただ1つ
2.弁理士の実務を身につけるのに何年かかるのか
3.弁理士の実務のまとめ
1.弁理士の実務を最短で身につける方法
弁理士の実務で最も難しいのが特許明細書を書けることです。
何度も上司にチェックしてもらって何度もやり直しをされている方も多いのではないでしょうか。(かくいう筆者もそうでした。)
特にクレームドラフティングが難しく、範囲を広げると「意味不明」と言われ、修正すると今度は「範囲が狭すぎ」と言われて何度もやり直しをしている方も多いと思います。
筆者は、最初の特許事務所では、クレームドラフティングが上手くなく、市販の実務書を読んだり、特許文献のクレームを写経したりいろいろと勉強しましたが全然上達しませんでした。
おそらく、特許明細書(特にクレームドラフティング)は独学で習得することは難しいのではないでしょうか。(だから企業は特許事務所に依頼するのだと思いますが。)
では、どのようにして特許明細書を書けばよいのかということですが重要なことは2つあります。
- ⓵審査基準を完璧に理解すること
- ②経験豊富な先輩弁理士の書き方を真似ること
まず、審査基準を完璧に理解しましょう。
- ⓵物クレームに特許性があれば、物クレームに従属する製造方法クレームは特許性があるか。
- ②クレームに「略」を記載すると不明確と判断されるか?
これらの質問に回答できますか。
答えは審査基準に書いています。
最低、第2部~第4部までは自分で勉強しましょう。
実務書は不要です。勉強するテキストは審査基準のみでOKです。
ただし、審査基準だけを学習しても特許明細書は書けるようにはなりません。
次に必要なのは、「経験豊富な先輩弁理士の書き方を真似ること」です。
このブログでは、何度もしつこく書いていることですがこれは大事なのでもう一度言っておきます。
ただ書き方を真似るだけではなく、「なぜこういう表現をするのか」徹底的に分析します。
迷ったり、わからなかったら先輩弁理士に何度も質問して聞いてみましょう。
この先輩弁理士の書き方を真似るというやり方は、特許明細書に限らずあらゆる実務を身につける上で最も効率的であり、最短で能力が身につきます。
ただし、先輩弁理士の書き方を我流で真似るとなかなか上達しないので、先輩弁理士に指導をしてもらうことがおすすめです。
最初のうちは、1月あたり時間をかけて特許明細書を丁寧に書きあげていきましょう。
ここで、特許明細書の書き方は、弁理士によって書き方に好みや癖があります。
相性があるので、未経験者の方は、公開公報を読んで「こういう書き方を身につけたい。」と思ったらそこの特許事務所へ転職するとうまくいきます。
公開公報は、特許庁のサイトIPDLから検索できます。
検索項目から代理人を選択し、弁理士の名前(業務法人の場合、法人名)を入力すれば出てきます。
2.弁理士の実務を身につけるのに何年かかるのか
通常、2~5年くらいかかると思います。
マンツーマンで丁寧に指導をしてもらえれば、2年くらいで特許明細書は書けるようになりますし、指導が不十分であれば、5年くらい、あるいはそれ以上かかるでしょう。
筆者の場合、特許明細書が書けるようになって「4年」はかかりました。
最初の特許事務所(3年)で停滞し、その後別の特許事務所で所長のマンツーマン指導で1年くらいでみるみる上達しました。
マンツーマン指導で所長の書き方を徹底的に真似しました。一言一句表現を分析し、なぜこのような表現をすべきか。そこまで考えました。
毎日朝9時~夜10時くらいまでひたすら特許明細書を書いていました。(あとは中間処理。)(京都から大阪通いで片道1時間以上なのでかなりきつかったです。)
給料は安かったですし、授業料だと思って割り切っています。
そこで1年ちょい修行をすると、3年間で身につかなかった特許明細書の実務を身につけることができました。
1年ちょいの修行はかなりきつかったのですが、特許明細書を書けるようになると食いっぱぐれることもないです。(独立後はほぼ書いてないですが・・・)
そこから大手へ転職し、人生はかなり楽になっていきました。
最初の1~2年はけっこうきついですが、特許明細書が書けるようになると希少価値が高くなるので人生は楽になります。(勿論収入も上がります。)
3.弁理士の実務のまとめ
特許明細書を書けるようになるために重要なことは2つあります。
- ⓵審査基準を完璧に理解すること
- ②経験豊富な先輩弁理士の書き方を真似ること
このブログでは何度も言っていますが、未経験の場合、特許事務所への転職先の優先順位は「良質な指導」を1位とすることをおすすめします。
書き方は特許事務所によってさまざまなのであらかじめ公開公報を検索してどのような書き方がされているか調べてみることもおすすめです。
経験者の場合、特許明細書を書けるようになりたいのであれば、環境を変えてみることもありと思います。
筆者も3年いた特許事務所を退職し、別の特許事務所で未経験のように1から学びました。結果的にそれがうまくいって、1年ほどで実務を身につけることができました。
特許事務所の転職のやり方についてはこちらの記事でまとめているのでご参考に。
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知財の転職・求職情報のまとめ記事【経験者が解説】
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