
特許事務の将来性が気になるな。
あと仕事はきついと聞くけどどうなんだろう?
こうした疑問に答えます。

この記事を書いている人
- ①弁理士試験(短答・論文必須・口述)1発合格
- ②中小規模の特許事務所に入所
- ③中小規模の特許事務所に入所
- ④大手法律事務所に入所
- ⑤現在特許事務所を独立開業
- ⑥2021年公開商標公報事務所ランキング第11位(京都第1位)←NEW(2021/2/5)(https://jp-ip.com/ranking/35733/2)
- ※資格勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
- 弁理士の勉強法は「弁理士試験の勉強時間を1,500時間で合格するための勉強法」の記事で解説。
筆者は弁理士・特許技術者として特許事務所に働いた経験はありますが、特許事務の仕事はありません。(最初の特許事務所で売り上げ悪いからあんたも特許事務をやれと副所長に言われたことはありましたが・・・)
ただし、これまで勤めてきた特許事務所や知人・弁理士の話からある程度特許事務の将来性と仕事についてお話しできます。
特にAIで特許事務の仕事は奪われるんじゃないかと不安に思う特許事務志望の方は多いのではと思います。
結論から言うと、特許事務の将来性は暗くないです。ただし、仕事はきついです。
以下、それぞれの理由をくわしく解説します。
本内容の構成
1.特許事務の将来性は暗くない理由
2.特許事務の仕事はきつい理由
3.特許事務の将来性と仕事のまとめ
Contents
1.特許事務の将来性は暗くない理由
まず、特許事務の仕事はAIに置き換わりやすいです。これはほぼ事実といえます。
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ただし、特許事務の仕事はなくなることはないですし、将来性について少なくとも今後10年は心配しなくてOKです。
理由は以下のとおりです。
- ⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから
- ②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから
- ③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから➤むしろこちらの方が事務員にはありがたいかも。
⓵と②についてこの傾向は今後10年も変わらないと思います。
以下それぞれの理由をくわしく解説していきます。
⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから
すみません。別にバカにしているわけではないです。
しかし、弁理士そのものがご高齢の方が多く、特に所長にいたってはご高齢でして、なかなか新しい技術を導入することは難しいです。
また、小中規模の特許事務所は中小企業と同じく、所長(社長)が全ての権限をにぎっています。所長がNOと言うとNOであり、YESと言うとYESです。
どれだけ勤務弁理士がAIを導入した方が効率的だからといっても所長がNOと言えばNOなのです。
実際に、AIを導入した方が人件費が明らかにコストカットするのに導入していない特許事務所がほとんどです。(聞いたはなしではとある特許事務所がAIを導入したところ、人件費を8割まで抑えられたそうです。)
中小規模の特許事務所に限定されず、大手もその傾向が強いです。大手の場合、パートナーが権限を握ると思いますが、やはり新しい技術を導入することに否定的な方が多い印象です(聞いた話。)
これは言い換えれば大手の場合、別に新しい技術を導入しなくてもやっていけるということを意味しています。つまり、人件費をカットしないといけないほど儲かっていないということではないと思います。
このため、AIを導入することはなかなかないので特許事務の求人は増え続けます。心配無用と思います。
②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから
さらにつけたすと、大手企業には特許事務の数で特許事務所を選ぶ傾向にあります。
理由は安全・リスク回避です。大手企業にとって一番重要なことは自社の知財を安心して特許事務所に任せてもらうことというのが多いです。
(だから、個人事務所には頼みません。)
つまり大手企業にとっては、全てとは言いませんが、一番重要視しているのは弁理士の質ではなく、特許事務の数であることが多いです。(弁理士の質はよほど悪い者でない限り差がつかない。大手企業では、極端な話平均点をとればよい。)
このため、大手特許事務所は特に特許事務の数を多く確保する傾向にあります。
この傾向はまだまだ続くでしょうしやはり心配ご無用です。
③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから
また、仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるので特許事務の仕事がなくなるというわけではありません。(ただ高齢の特許事務の方は新しい仕事をおぼえないといけずきついかもしれませんが…)
むしろAIに置き換わった方が特許事務のきつい負担部分が軽減されて楽かもしれません。
とにかく、いずれにせよ特許事務の仕事がなくなることはありえませんし、将来性について心配しなくてOKです。
ただし、仕事はきついです。
2.特許事務の仕事はきつい理由
特許事務の仕事のタイプは3つあります。
- ⓵「内内事務」国内のクライアントが日本特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「B」)
- ②「内外事務」国内のクライアントが外国特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「A」)
- ③「外内事務」外国のクライアントが日本特許庁へ知財(特許・商標)を権利化することをサポート(きつさ「A])
いずれもきついですが、内外・外内事務は特にきついです。
理由は以下のとおりです。
- ⓵ミスが許されない(期限徒過はNG)仕事である。
- ②弁理士のチェックが終わるまで帰れないことも。
- ③内外・外内は現地との時差があり、現地のリスポンスによっては夜遅くまで仕事をすることもある。
- ※内外・外内はより専門性が高く稼げるが残業が多い傾向。
まず特許事務はミスをすると大きな事故につながることが多いです。
例えば、特許事務の仕事に期限管理があるのですが、特許庁への期限についてクライアントへの期限報告を間違えたり、忘れたりするとそれだけで特許権が消滅するとかそういう事故につながることもあります。
このため、期限管理能力やヒューマンエラー・ミスを防ぐ能力が求められ、精神的にきつくなることもあります。
また、これは特許事務所によってケースバイケースかもですが、弁理士のチェックが終わるまで帰れないこともあります。
例えば、特許出願を本日中までに提出するとき、特許庁提出の出願書類を担当弁理士にもっていって、担当弁理士がチェックを行い、その後に事務員が庁手続きを行います。
しかし、場合によっては弁理士のチェックが遅すぎる場合がありますし、チェックすら忘れている場合があります。
この場合、事務員はなかなか動きづらくイライラしますし、帰ることもできない場合もあります。(これは根本的に弁理士が自分で特許庁提出の出願書類を作り、自分でチェックして出せばいいだけの話なのですが…)
また、内外・外内の事務の場合、時差がありますので現地のリスポンスが遅くなる時があります。
その結果、残業が多くなりますし、心理的なストレスもあると思います。
以上のように、特許事務は一般事務と比べると給料は高めですが、仕事がきつかったりイライラすることが多いと思います。
このため、もし特許事務を志望されるこうしたストレスに耐えられるかどうか、考えてから入所することをおすすめします。
なお、これらのストレスを減らすために改善されている特許事務所もあるのでそうした特許事務所に入ることをおすすめします。
具体的な特許事務所については、特許事務所の内部情報に詳しいリーガルジョブボード(無料)の三島さんにご相談する(左のサイトから無料登録)ことをおすすめします。
3.特許事務の将来性と仕事のまとめ
将来性は気にしなくてOKの理由
- ⓵特許事務所の所長のほとんどがAIを使いこなすのが難しいから
- ②大手企業ほど特許事務所選びに事務員の数を優先するから
- ③仮にAIに置き換わったとしてもAI教育係の仕事があるから➤むしろこちらの方が事務員にはありがたいかも。
特許事務ではなく弁理士を目指そうと思ったらこちらの記事もご参考に。
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