行政書士 資格

行政書士の独占業務は言うほど幅広くはない話

更新日:

悩んでいる人

行政書士の独占業務って幅広いらしいな。

しかし幅広いと仕事の数も増えるだろうになぜ行政書士は食えない資格と言われているんだろうか。

こうした疑問に答えます。

士業男子やま

この記事を書いている人

  • 行政書士登録可能(弁理士試験合格のため)。ただし未登録。
  • 弁理士で独立開業。
  • 経験に基づいた試験勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。

独占業務とは簡単に説明すると、特定の資格をもっていないとできない業務のことをいいます。

弁理士の場合、官公署のうち、特許庁へ提出する書類の作成(特許や商標の出願(申請)代行など)が独占業務です。

これに対し、行政書士の場合独占業務としてよく①官公署に提出する書類の作成②権利義務に関する書類の作成③事実証明に関する書類の作成が挙げられます。

そうすると、行政書士の独占業務って幅が広すぎではないかと思われるかもしれません。

しかし、これは誤りです。実際は行政書士の独占業務は言うほど幅広くはありません。

その理由を本内容では解説していきます!

1.行政書士の独占業務は言うほど幅広くない理由

2.行政書士の独占業務は許認可申請くらいである話

3.行政書士の独占業務のまとめ

 

1.行政書士の独占業務は言うほど幅広くない理由

行政書士の独占業務(官公署への提出の場合)については、行政書士法第1条の2と第19条に規定されています。

参考:行政書士法第1条の2

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類…その他権利義務又は事実証明に関する書類…を作成することを業とする。

行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

参考:行政書士法第19条

行政書士又は行政書士法人でない者は、業として第1条の2に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。

青字:原則

赤字:否定

オレンジ:例外

 

条文だけだとわかりづらいので、簡単にまとめます。

  • ①依頼人に代わり(1)官公署への提出書類、(2)権利義務に関する書類、(3)事実証明に関する書類を作成できる
  • (1)~(3)については行政書士の資格者しかできない(独占業務)
  • しかし、(1)~(3)のうち、他の士業等の独占業務にあてはまるものは行政書士はできない
  • なお、(1)~(3)のうち、行政書士でなくても他の士業でもできるものがある(非独占業務)

①と②だけの規定であれば、行政書士の独占業務の範囲はめちゃくちゃ広く最強の士業です。

しかし、そこから③で一部の独占業務が規制されます。

具体的な例として、以下の業務は行政書士が規制されます。

  • 弁理士の独占業務(特許・商標などの申請業務)
  • 司法書士の独占業務(登記・信託などの申請業務)
  • 社労士の独占業務(厚生労働省への助成金の申請業務)
  • 税理士の独占業務(税務官公署への申告業務)

例えば、会社を設立する場合、①定款➤②定款認証➤③登記のステップが必要です。

そうすると、依頼人は定款の作成と登記の申請の両方をまとめて士業に依頼したいですが、行政書士は定款の作成のみにとどまり登記の申請はできません。

登記の申請は司法書士の独占業務であり、行政書士が担当することは規制されているためです。なお司法書士は定款の作成も可能です。

また、助成金の申請も一見すると官公署への書類の提出であり、行政書士ができそうに思えますが、助成金の申請代行は社労士しか行うことができません。

このように行政書士ができる範囲は一見広すぎるように見えて言うほど広くはないといえます。

 

さらに、④について行政書士でなくても他の士業でもできる業務があります。

例えば、帰化許可申請・永住許可申請といえば行政書士の独占業務のように思いがちですが、これは司法書士でも可能な非独占業務にあてはまります。

帰化許可申請の提出先は法務局です。司法書士は、法務局(地方法務局)への提出書類の作成も業務としてできます。

参考:司法書士法 第3条1項2号

法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類又は電磁的記録…を作成すること。ただし、同号に掲げる事務を除く。

このように、他の士業と業務が被る場合、行政書士はその業務ができないか、あるいは業務はできるが独占業務ではないことになります。

特に、社労士(厚生労働省に提出する書類)・司法書士(法務局に提出する書類)・税理士(税務官公署に提出する書類)については業務が被りやすいので注意が必要です。

 

2.行政書士の独占業務は許認可申請くらい

では行政書士しかできない業務って何かを考えるとき提出先が他の士業の独占業務と被っていないかどうかが重要です。

結論から言うと、許認可申請くらいしかないと思います。

弁理士・弁護士などは資格に合格すると行政書士の資格もとれますが、行政書士に登録しないと許認可申請できません。(例えば、弁理士の資格を登録しても許認可申請の代行はできません。)

許認可申請とは何かというと、新たに事業をはじめる場合やさらに新たな分野に進出しようとする場合、事業に関する許可申請をすることです。

許可申請には多数の複雑な書類や資料を作成したり、提出したりする必要があり手間や時間がかかるので行政書士に依頼します。

具体的な許認可申請は以下のとおりです。

  • 飲食店営業許可申請書
  • 建設業許可申請書
  • 旅館営業許可申請書
  • 風俗営業許可申請書
  • NPO法人許可申請書
  • 個人タクシー免許申請書
  • 建築確認申請書
  • 旅行業登録申請書
  • 医療法人設立許可申請書

上はあくまで一例であり、分野はさまざま許認可の数はめちゃくちゃあります。

 

各分野の報酬額の相場は以下のとおりです。

  • 医療法人、宗教法人の設立などの許認可 報酬額50万円以上
  • 建設業の許認可 報酬額10~50万円
  • 飲食店営業許認可 報酬額10万円未満
  • 参考:https://www.youtube.com/watch?v=Nka4qnEmbh8

どれかの分野にしぼって専門性を高めれば、許認可のみといえども行政書士として成功する確率は高いといえます。(例えば建設業にしぼるなど)

3.行政書士の独占業務のまとめ

行政書士の独占業務のポイント

  • ①依頼人に代わり(1)官公署への提出書類、(2)権利義務に関する書類、(3)事実証明に関する書類を作成できる
  • (1)~(3)については行政書士の資格者しかできない(独占業務)
  • しかし、(1)~(3)のうち、他の士業等の独占業務にあてはまるものは行政書士はできない
  • なお、(1)~(3)のうち、行政書士でなくても他の士業でもできるものがある(非独占業務)
  • ⑤行政書士の独占業務といえるものは許認可申請くらい。業務は広くないが、許認可申請の分野は幅広い。

参考>>「行政書士は食えないのは嘘だが簡単には稼げない理由を有資格者が解説

 

-行政書士, 資格

Copyright© 弁理士やまの知的な日常 , 2021 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.