
知財で働きたい。
特許事務所か企業知財部で働くべきか迷うなあ。
違いを知りたい。
こうした疑問に答えます。

この記事を書いている人
- ①弁理士。(現在独立開業)
- ②中小規模の特許事務所を2所経験。
- ③大手法律事務所を経験。
- ⓸大手企業知財部に出向経験。
- 経験に基づいた試験勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
特許事務所と企業知財部のどちらかに入って、自分に合わなくて後悔する方もいますので、違いをしっかりと理解することをおすすめします。
特許事務所と企業知財部の違いは2つしかないです。
結論から言うと、以下のとおりです。
特許事務所 | 企業知財部 | |
働き方 | 非サラリーマン・成果主義 | サラリーマン・年功序列 |
仕事 | 戦術的な仕事 | 戦略的な仕事 |
単刀直入に言えば、サラリーマンの生活をしたければ、企業知財部がおすすめでして、いやなら特許事務所がおすすめです。
仕事については、戦略的な仕事をしたければ企業知財部がおすすめでして、戦術的な仕事(専門性を深める仕事)をしたければ特許事務所がおすすめです。
本内容では「戦略的な仕事」「戦術的な仕事」についてさらに深堀して解説していきます!
また、大学生の方で新卒で特許事務所に行くのはあり?という質問を頂いたことがあったのでそれもあわせて回答しておきます。
本内容の構成
1.特許事務所と企業知財部の仕事内容の違い
2.特許事務所のメリットとデメリットと向いている人
3.企業知財部のメリットとデメリットと向いている人
4.新卒で特許事務所への就職はありか
目次
1.特許事務所と企業知財部の仕事内容の違い
特許事務所 | 企業知財部 | |
働き方 | 非サラリーマン・成果主義 | サラリーマン・年功序列 |
仕事 | 戦術的な仕事 | 戦略的な仕事 |
ここでいう「戦術的な仕事」と「戦略的な仕事」を解説します。
①戦略:何のために(what)
- 「特許を何のためにとるか。」「特許をどう活かすか。」を考える。
- (例)「競合他社の技術を使いたい。競合他社にクロスライセンスしてもらえそうな特許をとろう。」
- 必要な知識➤企業が保有する技術の知識。知的財産全般(出願・係争・戦略)。法務的な知識も必要(契約書の作成・鑑定)。
②戦術:どうやって?(how to)
- 「与えられた発明からどうやって特許をとるか。」
- (例)「クライアントの発明について、どうやってストーリーを立てて(課題設定・効果の設定)、進歩性を主張していき特許を勝ち取っていくか。」特許明細書を作成していく。
- 必要な知識。特許出願業務。裁定業務(中間処理・異議申し立てなど)。(特許メインの場合)
企業知財部は「広く浅く」、特許事務所は「狭く深く」スキルをみにつけていくと言えます。
どちらが良いか、悪いかとかは特にないです。
ジェネラリストを目指すなら企業知財部、スペシャリストを目指すなら特許事務所です。
両方経験すると最強です。
2.特許事務所のメリットとデメリットと向いている人
特許事務所のメリットは以下のとおりです。
- ①サラリーマン生活から解放できる(大げさみたいですがほぼマジです。)
- ②若いうちでも稼ぎやすく、サラリーマンより高年収。(ただし実務能力が乏しいと何年たっても稼げない。)
- ③実務能力を身につけると食いっぱぐれはない。(転職もやりやすい。)
特許事務所では、「会議」「出張」「出勤」「チームワーク」「同僚との飲み」がほぼなくサラリーマンと反対の働き方を実現できます。
また、フレックス制度・在宅制度も充実しており、満員電車などストレスのかかるものを回避できます。
さらに、成果主義をとることが多く、若いうちでも年収1,000万円プレーヤーになることもできます。
おまけにいやになったら簡単に転職できますし、待遇が悪ければ企業で言う部署移動のようによその特許事務所へ転職できます。
一方でデメリットは以下のとおりです。
- ①経営の知識が身につかない(やることはほとんど出願業務。)
- ②同僚とワイワイしたい体育会系は物足りないと思う。
- ③成果主義型なので企業よりハードに感じる人もいる。
1番のデメリットは経営の知識が身につきにくいことと思います。
仕事内容はほぼ出願業務(と裁定業務)です。
特許明細書ばかり書くことが多いですが、経営的なセンスは身につきにくいです。
また、同僚と交流したい方には静かすぎる雰囲気でおすすめできないかもです。
また、成果主義なので年功序列制と違い、売上で年収で決まったりと少しハードであることも注意してください。
最後に特許事務所には企業と同じく入ってはいけないところもあります。
「特許事務所でやめたほうがよいブラック特許事務所【未経験向け】」の記事でも紹介していますが、もし不安なら特許事務所へ働いている知人に相談するか、転職エージェントのリーガルジョブボードさんに相談しておきましょう!数分で完了します。
筆者が知りえた情報は前述のとおりリーガルジョブボードさんにお伝え済みです。ここではあまり言えない情報も伝えております。
相談はなるべく早めにすませておくことをおすすめします。
理由は、今は少しでも転職したい気持ちがあっても、これから仕事でストレス・疲労が限界に達すると転職サイトに登録する気持ちが完全になくなってしまうからです。
ただし、本気で特許事務所への転職を考えている方のみ登録をおすすめします。生半可な気持ちだと転職エージェントの方もあなた自身も時間がもったいないと思いますので。
本気で特許事務所へ転職を考えている方のみどうぞ。
>>リーガルジョブボードの無料相談はこちらから登録!
3.企業知財部のメリットとデメリット
企業知財部のメリットは以下のとおりです。
- ①マネジメント能力などビジネスセンスがつく
- ②知財の幅広いスキル(特許出願、係争、契約、知財戦略など)を身につけることができる
- ③弁理士の資格をとって独立をすると仕事をとりやすい
知財部では特許出願を複数の特許事務所に依頼したり、昇進すると部下に仕事をまわしたりと、マネジメント能力もみにつけることができます。
また、特許事務所にくらべると、企業出身だとビジネスマナーなど幅広いビジネスセンスもみにつけることができます。
これは個人的な印象ですが、企業出身者のほうが独立で成功している方が多い傾向です。
やはりビジネススキルをみにつけていることが有利に働いているのかもしれません。
一方でデメリットは以下のとおりです。
- ①転職が難しい
- ②年功序列制。若手は稼ぎにくい
- ③サラリーマンが苦手な人はつらい
- ⓸弁理士の資格があまり役に立たない
知財部は転職が難しい点に注意してください。
というのも知財部では不足していても、多くは他の部署から補充するので頻繁に募集していないからです。
募集しているといっても知財部出身が有利であり、未経験だと厳しいかもです。
くわしくは「知財部への転職は難しいのか!?知財部経験者が語ります」の記事でも解説しています。
また、弁理士は仕事の上であまり役にたたないと思って問題なしです。
理由は弁理士の独占業務をやることはほぼないからです。
独占業務は「弁理士の仕事内容を分かり易く解説【1日のスケジュールも公開】」の記事をご参考に。
4.新卒から特許事務所へ入所はありか!?

在学中に弁理士試験合格を目指してます。
知的財産の道に進みたいんですが、企業に就職せず、新卒から特許事務所へ入所した方がいいのでしょうか。
以前にこうした質問があったので答えておきます。
筆者の結論を言うと、以下のとおりです。
- ①大企業に行きたいなら大企業に進みましょう。
- ②大企業に行ってサラリーマン向いていないら特許事務所へ進みましょう。
- ③大企業に行けないなら特許事務所へ進みましょう。
新卒で特許事務所へ入所すると、辞めた時に大企業へ転職は難しくなります。
無理ではありません。特許事務所で新卒で就職➤その後大企業へ転職された方はいらっしゃいます。
ただし、大企業へ転職に成功した方は、ある程度特許事務所で知財の実務能力を積んだ方が大半です。(さらに大手特許事務所出身者)
もし新卒で特許事務所へ就職して、「あれ?やっぱ自分に合ってないや」と思ってたいした実務能力をつけずにすぐに辞めると人生終わります。
こうしたリスクを知った上で特許事務所へ就職するのであればありですが、「ああ。畜生!企業へ就職しておけばよかった・・・」と後悔してももう遅いです。
このため、まずは大企業へ就職して、「ああ。やっぱりサラリーマン向いてないや。」と自分で納得してから特許事務所へ転職されると後悔しないですし、サラリーマン向いていない自分に特許事務所は天職!と割り切れるので、特許事務所へ転職してもやっていきやすいと思います。
特許事務所の場合、転職は比較的容易です。大企業に1年弱で退職しても転職しやすいです。
ただし、「自分はサラリーマンなんて嫌だ。大企業なんて一生行かなくていい。」という意気込みがあれば新卒で特許事務所へ入所もありです。
新卒で特許事務所へ入所した方が、当たり前ですが、キャリアアップが早いですので30前後で年収1,000万円に到達しやすいです。
5.特許事務所と企業知財部のまとめ
特許事務所 | 企業知財部 | |
働き方 | 非サラリーマン・成果主義 | サラリーマン・年功序列 |
仕事 | 戦術的な仕事 | 戦略的な仕事 |
※特許事務所には企業と同じく入ってはいけないところもあります。
「特許事務所でやめたほうがよいブラック特許事務所【未経験向け】」の記事でも紹介していますが、もし不安なら特許事務所へ働いている知人に相談するか、転職エージェントのリーガルジョブボードさんに相談しておきましょう!
本気で特許事務所へ転職を考えている方のみどうぞ。
>>リーガルジョブボードの無料相談はこちらから登録!