弁理士 特許の書き方

特許請求の範囲の記載形式は3つ|要素列挙型について徹底解説

更新日:

士業男子やま
みなさんこんにちは。士業男子やまです。

 前回はクレームの書き方の初歩的なお話しをしました。

 過去記事はこちらです。

士業男子やま
今回は、特許請求の範囲の記載形式について解説していきます。

 これらの中でも特に要素列挙型は重要ですのでその書き方も徹底解説していきます!

 

本記事の信頼性

 本記事を書いている人は、「特許事務所」「法律事務所」にて300件以上特許明細書を書いてきており、多くの特許明細書で特許査定を取得しています。

 また企業知財部では、特許事務所からの明細書のチェックを行い、クライアントの立場から明細書の良しあしを判断してきました。

本記事の内容

特許請求の範囲の記載形式を3つ紹介

要素列挙型の書き方のポイント

 

本記事の対象読者

 弁理士や特許技術者で経験の浅い方

目次

 

特許請求の範囲の記載の形式は3つ

特許請求の範囲の記載の形式の中で重要なものを3つ紹介します。

①構成列挙型

②ジェプソン型

③マーカッシュ形式

特許請求の範囲の記載形式は、①~③を知っていけばOKです。

実際に使うのは①~③だけだからです。

順番に説明していきます。

①構成列挙型

 構成列挙型とは、「Aと、Bと、Cと、を含むXX。」という書き方です。

 発明の構成要素を箇条書き形式で「と」でつなぎながら書いていきます。

 この利点は、クレームの表現が冗長となりえず、特許権の侵害検証が容易になることになります。

 また、クレームも分かり易いのでクライアントからも評価が高いです。

 本記事では、後半で構成列挙型形式の書き方を解説していきます。

②ジェプソン型

「〇〇であって、■■であるXXX。」(〇〇が従来の特徴部分であり、■■が新しい特徴部分)といった書き方です。

本発明の特徴部分を明確にするような書き方であり、材料系に多いです。

材料系では、改良発明が多く、従来品の特徴と、改良品の特徴を明確に区別したい理由でジェプソン形式が好まれることが多いです。

欧州のプラクティスでは、従来部分と特徴部分を明確にクレームで表現するように指令がくることもありますので、ジェプソン形式のクレームも覚えておくことをおすすめします。

③マーカッシュ形式

 マーカッシュ形式は、「A、B、C及びDからなる群から選択される1種以上のX。」といった書き方です。

 主に材料系のクレームで使われます。

 材料系では組成物の発明が多く、組成物を構成する要素が複数の選択肢のどれか1つである場合もあります。

 こうした場合の表現としてマーカッシュ形式を用います。

 ここで注意すべき点は、「及び」を使うことです。

「又は」だと「群」を1つに規定することができないため「又は」は避けるべきです(群は、「A」のみからなるものでもよく、「A」「B」のみからなるものでもよく、・・・)

 一方「及び」だと「群」を1つに規定することができるため、ここでは「及び」を使います。

構成列挙型の書き方の解説

士業男子やま
では実際に構成列挙型のクレームを書いていきます。

今回は簡単な事例として上の図の家(建築物)のクレームを構成列挙型で書いてみましょう。

 まずは構成要素を並列で書いてみます。

【請求項1】

床部と、柱と、天井部と、屋根部、を含む建築物。

 このように、構成要素を「と」でつなげばOKです。 

 ここで注意すべきポイントは、屋根部の後ろにも「と」をつけることです。

 建築物の構成要素である「床部」「柱」「天井部」「屋根部」が並列であることを表現するために、最後も「と」をつけます。

 初学者にとって、違和感があるかもしれませんが、この点を気をつけましょう。

大きな要素と小さな要素を区別するには!?

 では、ここで床部を構成する要素として、畳とフローリングについてもクレームで特定したい場合はどうすればよいでしょうか。

悩んでいる人
畳とフローリングとを含む床部と、柱と、天井部と、屋根部と、を含む建築物かなあ・・・

なんだか不細工な日本語だけど・・・

 この場合には、「及び」「又は」を使って表現しましょう。

【請求項1】

畳及びフローリングを含む床部と、柱と、天井部と、屋根部と、を含む建築物。

 どうでしょうか。

 小さい要素(畳、フローリング)と大きい要素(床部、柱、天井部、屋根部)とが明確に区別されていませんか。

 このように、小さい要素については、「及び」「又は」を使って特定しましょう。

 

特徴的な要素を強調したい場合には!?

 

 

  では次に、「床部」「柱」「天井部」「屋根部」については従来にある特徴であり、「煙突部」については従来にない特徴として、この従来にない特徴的な要素を強調したい場合にはどのように表現すべきでしょうか。

 この場合には「ジェプソンクレーム」を使用します。

【請求項1】

床部と、柱と、天井部と、屋根部と、を含む建築物であって、

煙突部を含む建築物。

 この場合、前段と後段は切り離されて考えるべきであり、煙突部の後に「と」は不要です。

 

 構成列挙型の書き方のポイント

 

悩んでいる人
構成列挙型のクレームは、構成要素を並列に書けばよいのはわかったけど構成要素を書く順番は適当でもいいのかな!?

 ここからは構成要素を書く順序についてお話しします。

 順序のポイントは2つあります。

①特定の方向に向かって書く(下から上に向かって書く又は左から右に向かって書くなど)

②位置的に近い要素から書いていく

 

 これはルールというものではありません。

 こうした方が書きやすいからです。

 

 家の例では、下から上に向かって書いていきます。

 つまり「床部」、「柱」、「天井部」、「屋根部」の順番です。

 上の例で表現したクレームでは、単に「床部と、柱と、天井部と、屋根部と、を含む建築物。」でしたが、実際にはこれだけの表現では不十分です。

 互いの要素同士の関係を特定したり、役割を特定する必要があります。

 具体的には以下のようになります。

【請求項1】

 床部と、

 前記床部の上に固定された複数のと、

 前記複数のにより支持された天井部と、

 前記天井部の情報に形成された屋根部と、

 を備える建築物。

 上のクレームでは、柱は床部との関係で特定されていて、天井部は柱との関係で特定されていて、屋根部は天井部との関係が特定されています。

 このように、構成要素同士の関係を明確にすることが重要です。

 そうしないと発明を明確にクレームで表現したことにはなりません。

 

 そして、このように構成要素同士の関係を明確にする上で、

①特定の方向に向かって書く(下から上に向かって書く又は左から右に向かって書くなど)

②位置的に近い要素から書いていく

 というルールで書いていけば、漏れがなくクレームも書きやすくなります。

 

 構成列挙型のクレームを書く上で重要なポイントですのでぜひおさえておいてください。

 

特許請求の範囲の記載の形式のまとめ

①構成列挙型

②ジェプソン型

③マーカッシュ形式

 

構成列挙型のポイント

①特定の方向に向かって書く(下から上に向かって書く又は左から右に向かって書くなど)

②位置的に近い要素から書いていく

 

今後もクレームの書き方・明細書の書き方を解説していきますのでご覧いただければと思います。

もしわからないことがあればご相談してもらっても構いません。

メールかツィッターのDMで答えます。

>>この記事を書いている弁理士やまのプロフィール

>>弁理士やまが所長の特許事務所はこちらです。

IPとSEOを組み合わせたこれまでの特許事務所にないサービスを提供しています。

-弁理士, 特許の書き方

Copyright© 弁理士ブログ|とある士業の知的な日常 , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.