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オープンクローズ戦略とは|弁理士が分かりやすく解説

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悩んでいる人
オープンクローズ戦略って何だろう…

誰か分かり易く解説してくれないかなあ…

 こうした疑問に答えます!

 

〇本記事の内容

オープンクローズ戦略とは

オープンクローズ戦略の事例

〇本記事のおすすめの読者

知財に興味ある方

〇本記事の信頼性

この記事は、知財の専門家である弁理士によって書いています。

本記事を読めばオープンクローズ戦略を理解できます。

目次

オープンクローズ戦略とは何だ!?

「オープン&クローズ戦略とは」

 特許などの知財について、自社単独で実施するものと(クローズ)と、他人に実施を許すもの(オープン)とに分ける戦略

 

 オープン&クローズ戦略の先駆けはインテルのパソコン事業です。

 具体的には、PC周辺機器の製造技術についてはアジア企業にオープンしつつ、CPUに関する技術はライセンスすら許さないクローズ領域として独占しました。

 

 ではなぜせっかく特許などの知財をとっているのに、他人に実施を許すのでしょうか。

 

 もちろん他人に実施を許可することでライセンス料をもらうというのも理由の1つにあります。

 しかし、それ以上に大きなメリットがあります。

 それが技術の標準化です。

 

 上記のインテルのパソコン事業を例にすると、アジア企業はPC周辺機器を製造しても、製造したPC周辺機器はインテルのCPUと互換性があるものです。

 アジア企業が大量にPC周辺機器を製造し、それが売れれば売れるほど、それに互換性があるインテルのパソコンのシェアが大きくなります。

 そうすると、インテルのパソコンは技術的に優位な立場におかれることになり、技術標準化します。

 

 その一方でインテルのコア技術であるCPUに関する特許については、どこも使用許諾をしません。

 独占的な実施です(クローズ)。

 そうすると、競合他社による参入を防ぐことができますし、価格競争にまきこまれることもなく、特許の保護期間の間は圧倒的に優位な状況を保つことができます。

 このように、オープンクローズ戦略をとると市場拡大を他社もサポートしてくれてしかも市場を独占できるというメリットがあります。

 

 他にも、アップルの「iphone」やノキアの「携帯電話」についてもオープン&クローズ戦略をとっています。

 今後はさまざまな電気製品や自動車などにもソフトウェアが組み込まれていく時代ですので、オープン&クローズ戦略は広く浸透しています。

 

オープン&クローズ戦略は実は30年以上前からあった

 オープン&クローズ戦略はここ数年聞かれるようなワードですが、これは最近できたものではありません。

 30年以上くらい前にすでにありました。

 つまり80年代です。

 

 この頃は日本企業がアメリカを追い詰めてジャパンイズナンバーワンと言われていた時代です。

 しかしその後はアメリカがIT技術を進化させて新しいビジネスモデルを確立して日本を追い越しました。

 この新しいビジネスモデルの確立に「オープン&クローズ戦略」があったのです。

 一方、日本企業は競合他社とクロスライセンスにもちこむための特許戦略であり、知財を有効にいかしたビジネスモデルを考えた企業は少なかったのです。

 こうして90年代になると日本は不況に陥りました。これは知財戦略と大いに関係があるのです。

 

 しかし、今では特許の大量出願という戦略を見直し、オープン&クローズ戦略を採用している日本企業もたくさんあります。

 代表的な例としてはトヨタが挙げられますね。

 >>トヨタ自動車が特許実施権を無償で提供 ライセンスビジネスに必要な知財戦略とは?(Business Lawyers)

 このように知財をあつかうなら、オープン&クローズ戦略を知っておくことが重要です。

 

 以上のように、オープン&クローズ戦略の概要を解説しましたが、実は80年代に知財をうまく生かし、オープン&クローズ戦略を行っていたビジネスモデルはありました。

 以下にそのビジネスモデルを紹介します。

オープン&クローズ戦略の事例

 実は、80年代にオープン&クローズ戦略を行ってきた事例としてみなさんになじみの深いものがあります。

 それは「ファミコン」です。

 実際に、任天堂が現代のオープン&クローズ戦略を明確に打ち出したかどうかは不明ですが、ファミコンのビジネスモデルもまたオープン&クローズ戦略といえるでしょう。

 以下に「ファミコン」を事例としてオープン&クローズ戦略を解説します。

 ファミコンは、ゲーム機本体(ハードウェア)とゲームソフト(ソフトウェア)でなりたっています。

 ファミコンでは、ゲームソフトをゲーム機本体に挿入するとさまざまなゲームを楽しめます。

 ファミコンは、発売半年後から急激に売り上げをのばして大ヒットとなりました。

 ファミコンはスーパーファミコンが登場するまでの80年代に圧倒的にシェアを獲得しています。

 ソフトも自社の「スーパーマリオブラザーズ」などだけでなく、サードパーティの「ドラゴンクエスト」「ロックマン」「ファミリースタジアム」といったヒット商品が次から次へと出ています。

 そして、任天堂の売上高は89年になると2900億円に達しており、発売年の83年から5年以上で売り上げも利益も4倍となりました。

 ファミコンは、さまざまなゲームを専用ROMカートリッジで供給するという画期的にシステムであり、任天堂はこの特許を取得していると思われます。

 おそらく、このシステムをサードパーティに実施することを許諾せず、単独で実施していれば、「ドラゴンクエスト」などのヒット商品も世にでてこなかったと思いますし、ファミコンもこれほどヒット商品につながらなかったと思います。

 任天堂は、このシステムの実施をサードパーティにオープン(開放)することで、ファミコンをゲーム機のトップシェアにまですることができました。

 サードパーティは自社でゲーム機本体を開発しようにも、ファミコンが強すぎて勝てないですし、ファミコンソフトを供給せざるをえなくなってしまいます。

 いわばファミコンはゲーム機の標準規格といってもいいぐらいの地位にのぼりつめたのです。

 このようにファミコンソフトの技術に関してサードパーティに使用を許可してトップシェアにのぼりつめたのが「オープン」戦略です。

 

 一方、ハードはどうでしょうか。

 ファミコン本体に関する技術の特許については任天堂は他社に使用許可を与えることなく独占的に実施をしました。

 ライセンス許可を与えて、ファミコンに似たハードが登場すると価格競争が生まれます。

 そうすると、任天堂もファミコン本体の価格を安くせざるをえません。

 しかし、ファミコンの価格は83年発売当初の14,800円から数年経ってもその価格がそれほど下がることなく維持することができ莫大な利益をあげることができました。

 このように、ファミコン本体については他社に実施許可を与えることなく独占的に実施して、価格競争に巻き込まれないようにするのが「クローズ」戦略です。

 このようにファミコンはオープン&クローズ戦略をとることにより、莫大な利益を得て、任天堂はゲーム会社のナンバー1の地位までのぼりつめることができました。

オープン&クローズ戦略のまとめ

 ファミコンを事例にとらえるとオープン&クローズ戦略のイメージがつかみやすいと思います。

 オープン&クローズ戦略についてもっと詳しく知りたい方は以下の本が参考になります。


オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件 増補改訂版

 ファミコンを例に例えるとそんなに難しくないかなと思います。

 今後は、特許などの知財を権利化するにあたり、戦略なしではありえないです。

 知財を有効に活用することであらたなビジネスモデルも生まれてきます。

 そのうえでオープン&クローズ戦略はぜひ知っておきましょう。

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