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意匠法2020年大改正を現役弁理士が徹底解説します|来年は意匠が熱い!?

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 僕は、とある法律事務所で働く弁理士(ツィッター@mayaaaaasama)🙈

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今回は「意匠法2020年大改正を現役弁理士が徹底解説します|来年は意匠が熱い!?」というタイトルにてお話しします。

目次

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意匠権とは!?

意匠登録制度は、プロダクトデザインを保護する制度です。

意匠登録制度では、美観、独自性のある物品の形状、模様、色彩に関するデザインに意匠権という独占権を与えます。

意匠権の存続期間は、登録されてから20年間です。

意匠権は使えない!?

 日本の意匠登録出願の件数はどのくらいあるのでしょうか。

出典:経済産業省「特許庁ステータスレポート2018」

 近年の意匠登録出願件数は年間3万件前後で減ってもいないですし増えてもいないです。

 一方、2017年の商標登録出願件数は年間約19万件であり、商標登録出願件数と比較して意匠登録出願件数は圧倒的に少ないことがわかります。

 このように意匠登録出願は人気がないことがわかると思います。

 実際にどこの特許事務所も「特許」「商標」の出願依頼は多いですが、「意匠」の出願依頼は圧倒的に少ないです。

 ではなぜ意匠登録出願はこんなに人気がないのか。

 考えられる理由は以下のとおりです。

 ・更新制がない。意匠権は存続期間を過ぎると消滅する。

 ・意匠権で保護される対象範囲が狭い。

 ・そもそも意匠登録出願の認知度が小さく誰も使わない。

以下順番に説明します。

「更新制がない」

 意匠権の存続期間は、登録になってから20年間です。

 存続期間を過ぎると、商標権とは異なり更新ができず、意匠権は消滅してしまいます。

 つまり、存続期間を過ぎると、独自のデザインは誰でも使えるようになってしまいます。

 一方、市場に定着する商品のイメージはデザインに大きく依存します。

 つまり、商品は独自のデザインによって、ユーザに愛着感を惹き起こさせることがあります。

 そうすると、商品のデザインは何年経っても同じデザインであることが求められます。

 ところが、そのデザインを意匠権で保護しようとしても存続期間が20年間しかなく、意匠登録制度は何十年も同じデザインを保護してほしいというニーズにあっていません。

「意匠権で保護される対象範囲が狭い」

また、意匠権で保護される範囲が狭いという理由も考えられます。

特にこれまでの意匠制度の保護対象では、IoT、AI、ビッグデータなどの新技術による社会変革に対応したデザインが十分に保護されていないという問題があります。

「意匠登録制度の認知度が小さい」

さらに、「特許」「商標」と比較すると「意匠」は知名度が低く、一般にデザインプロダクトを保護する制度というのが知れ渡っていないのではという印象を受けます。

意匠法2020年大改正の概要

今年の5月17日に意匠登録制度を強化した大改正が行われました。

実際にこの改正が施行されるのは、「公布の日(5月17日)から起算して1年を超えない範囲内」であるため、遅くとも2020年5月17日までには施行されるようです。

大改正の主な内容は以下のとおりです。

(1)保護対象の範囲の拡大

(2)関連意匠制度の強化

(3)意匠権の存続期間の変更

(4)1物品1意匠の緩和

以下順番に説明します。

 「(1)保護対象の範囲の拡大」

今回の大改正により保護対象も追加されました。

今回新たに追加された保護対象は以下のとおりです。

・物品に組み込まれていない画像

・建築物

「物品に組み込まれていない画像」

これまでも、画像に関しては意匠登録はできました。

ただし、この場合、物品の「操作画像」「表示画像」に限定されているものでした。

「操作画像」は、画面上のアイコンなどに触れて物品を操作できるものをいい、例えば、以下のような電子複写機のタッチパネルが挙げられます。

出典:登録1557399号。赤枠は筆者の追記。

「表示画像」は、物品の機能を発揮するために必要な画像であり、例えば、以下のような時計の文字盤が挙げられます。

出典:登録1605860号。赤枠は筆者の追記。

しかし、意匠は「物品」を保護するという前提があったため、画像については物品に組み込まれているものに限定されており、物品から離れた画像について保護対象と認められていませんでした。

これまでの意匠制度の保護対象では、IoT、AI、ビッグデータなどの新技術による社会変革に対応したデザインが十分に保護されていないという問題がありました。

そこで、今回の大改正により物品に組み込まれていない画像についても保護対象として認めることになりました。

意匠法第2条の条文は以下のように改正されることになっています。

第二条

この法律で「意匠」とは、物品(物品の部分を含む。以下同じ。)の形状、模様若しくは色彩若しくはこれらの結合(以下「形状等」という。)、建築物(建築物の部分を含む。以下同じ。)の形状等又は画像(機器の操作の用に供されるもの又は機器がその機能を発揮した結果として表示されるものに限り、画像の部分を含む。次条第二項、第三十七条第二項、第三十八条第七号及び第八号、第四十四条の三第二項第六号並びに第五十五条第二項第六号を除き、以下同じ。)であって視覚を通じて美観を起こさせるものをいう。

出典:日本弁理士会。赤字は筆者の追記。

従来では、「操作画像」「表示画像」については物品に組み込まれている必要がありましたが、物品に組み込まれていなくても保護対象として認められることになります。

具体的には、「機器以外の場所に投影されるGUI」「ウェブアプリのGUI」があてはまります。

出典:特許庁 平成30年度 意匠制度の改正に関する説明会

ちなみに「GUI」というのは、簡単にいうと「マウスや指などでポチポチ操作できる画面のこと」です。

「建築物」

これまで「物品」は動産を指すものであり、不動産は保護対象外と認められていましたが、今回なんと不動産である建築物も保護対象と認められました。

保護対象は建築物の外観や内装、つまりは空間デザインです。

内装デザインについては、意匠法の第8条の2にて以下のように改正されます。

第8条の2

店舗、事務所その他の施設の内部の設備及び装飾(以下「内装」という。)を構成する物品、建築物又は画像に係る意匠は、内装全体として統一的な美観を起こさせるときは、一意匠として出願をし、意匠登録を受けることができる。

出典:日本弁理士会。

これにより、魅力的な店舗により顧客にアピールできる店にとっては、意匠権はとても強いツールとなりえます。

(2)関連意匠制度の強化

関連意匠制度も強化されます。

具体的な強化内容は以下のとおりです。

・関連意匠の出願可能期間の延長

・関連意匠のみに類似する意匠の登録も可能

「関連意匠の出願可能期間の延長」

「関連意匠」とは、同一のコンセプトから生まれた互いに類似するデザインのバリエーションをまとめて保護する制度です。

例えば、上記の意匠は乗馬のような運動をすることにより足腰を鍛える健康器具です。

関連意匠の登録要件に、本意匠と類似するという要件があります。登録1119075号と登録1118554号とは類似していると判断され、関連意匠として登録できますが、登録1118554号と仮想事例の場合には、背中にもたれる部分が大きく異なっており、類似といえないことから、これまでは関連意匠として登録されませんでした。

しかし、この仮想事例は登録1119075号とは類似しているといえます。今回の法改正では、関連意匠どうしが類似しているものについて関連意匠として登録出願できることになりましたので、仮想事例であっても関連意匠として登録出願できます。

しかも、関連意匠の出願可能期間が「本意匠の出願から10年以内」と大幅に拡張されたので、商品デザインについてコンセプトを維持しながら、長期的にデザインを改変していく場合においても、適切に関連意匠として保護できます。

(3)意匠権の存続期間の変更

また、意匠権の存続期間は、これまで登録日から20年間でしたが、出願日から25年間となりました。

通常は、出願から登録まで約1年くらいかかるので、実質4年程存続期間が延長したことになります。

これは他の外国に比べてもトップクラスに長い存続期間です。(EU、ロシア、ブラジルと同様です。)

このため、存続期間の実質的な延長により、独自のデザインによる商品のブランド力の強化につながることができます。

(4)1物品1出願の緩和

さらに、これまで原則1物品につき1出願でした。

これはどういうことかというと例えば、容器の中にモノが入っている場合には、1つの物品とはいえないので、このような形態は意匠登録することができませんでした。

しかし、今回の改正により、この原則が緩和されたので、容器の中にモノが入っている状態でも意匠登録できるようになります。

ただし、お中元やお歳暮といった複数の物品を1つの箱に収めたものについては、今回は保護対象からはずれています。

2020年以降は意匠が熱い時代!?

今回の意匠登録制度の改正はかなり強化されている印象です。

特に「画像意匠」の保護対象の拡大と、「建築物」についても保護対象と認められるなど保護対象が広がったことにより、2020年度以降には意匠登録出願の件数も増加していく傾向にあると考えられます。

弁理士・特許技術者にとっては、意匠登録出願の依頼も増えてくるでしょうし、ニーズにあわせて今のうちから意匠実務を身につけていくのもよいと思います。

もし、読者の中でプロダクトデザインの意匠登録を考えている方がいれば、是非わたくし士業男子やまにご相談いただければと思います。

また、わたくし士業男子やまは近々開業予定でして、意匠登録出願の代行サービスも行っています。

相談は無料ですのでお気軽にご連絡を頂ければと思います。

また弁理士はこれらの知財のスペシャリストです。

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以上

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