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特許をとるための拒絶理由対応|進歩性欠如を解消する方法を現役弁理士がお話しします

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 僕は、とある法律事務所で働く弁理士(ツィッター@mayaaaaasama)🙈

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 今回は、「特許をとるための拒絶理由通知の対応方法|進歩性欠如を解消する方法」というタイトルにてお話しします。

 今回の記事は、特許の実務に関わる全ての方にご覧いただければと思います。

 今回の記事は結構文量が多いので、急ぎの方は具体例だけでも読んでいただければと思います。

目次

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拒絶理由の種類

 拒絶理由の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

 拒絶理由の種類には、以下のようなものがあります。

 ・新規性欠如(特許法第29条第1項第3号)※第1~2号を引用されるのは稀。

 ・進歩性欠如(特許法第29条第2項)

 ・実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号違反)

 ・サポート要件違反(特許法第36条第6項1号違反)

 ・明確性要件違反(特許法第36条第6項第2号違反)

 ・単一性要件違反(特許法第37条違反)

 ・新規事項の追加違反(特許法第17条の2第3項)

 ・シフト補正(特許法第17条の2第4項)

 たいていのケースでは、これらの8つのいずれかにあてはまります。

 今回の記事では、これらのケースの中でも、もっとも多い「進歩性欠如」の拒絶理由について解消方法を説明していきます。

中間処理をマスターするために重要なこと

 拒絶理由に対する対応は中間処理とも言われています。

 特許実務者が中間処理をマスターするために必要なことは何でしょうか。

 それは1つしかありません。

 審査基準を完璧にマスターすることです。

 審査基準には第I部から第X部までありますが、第II部~第IV部についてしっかりと勉強することをおすすめします。

 第II部 明細書及び特許請求の範囲

 第III部 特許要件

 第IV部 明細書、特許請求の範囲又は図面の補正

 ただし、これらを勉強してから、実務に入るというのではなく、実務をやりながら、審査基準の中で実務に対応するところをよく読んで勉強していくというのが効率的です。

進歩性欠如を解消する方法

 今回の記事では、「進歩性欠如を解消する方法」についてお話しします。

 拒絶理由の種類の中でも、進歩性欠如を解消することがとても難しく、特許実務者としてやりがいのあるところです。

 審査基準では、「進歩性の判断」について以下のように記載されています。

 審査官は、先行技術の中から、論理付けに最も適した一の引用発明を選んで主引用発明とし、以下の(1)から(4)までの手順により、主引用発明から出発し
て、当業者が請求項に係る発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断する。審査官は、独立した二以上の引用発明を組み合わせて主引用発明とし
てはならない。
 審査官は、特許請求の範囲に二以上の請求項がある場合は、請求項ごとに、進歩性の有無を判断する。

(1) 審査官は、請求項に係る発明と主引用発明との間の相違点に関し、進歩性が否定される方向に働く要素(3.1参照)に係る諸事情に基づき、他の引用発
明(以下この章において「副引用発明」という。)を適用したり、技術常識を考慮したりして、論理付けができるか否かを判断する。

(2)上記(1)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。

(3) 上記(1)に基づき、論理付けができると判断した場合は、審査官は、進歩性が肯定される方向に働く要素(3.2参照)に係る諸事情も含めて総合的に評
価した上で論理付けができるか否かを判断する。

(4) 上記(3)に基づき、論理付けができないと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していると判断する。
上記(3)に基づき、論理付けができたと判断した場合は、審査官は、請求項に係る発明が進歩性を有していないと判断する。

出典:特許実用新案審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 3.進歩性の具体的な判断

 上記をまとめると以下のようになります。

 (1)本願発明にもっとも近い発明が開示された引例を主引例とする。※主引例は1つとする。

 (2)本願発明と、主引例に開示された発明との相違点を判断する。

 (3)相違点について、主引例と主引例以外の引例(副引例)又は技術常識から論理付けを行うことにより導き出させるかどうか検討する。

 (4)導き出せない場合には、進歩性を有すると判断する。

 (5)導き出せる場合には、例外を除き進歩性を有しないと判断する。

 ※1 論理付け

 ・主引例に副引例を適用する動機づけ(技術分野が関連する、課題が共通している、作用機能が共通している、引用発明中の示唆)が存在する。

 ・主引例からの設計事項に過ぎない

 ※2 例外

 ・主引例に副引例を適用するとおかしなことになる(主引例の目的(課題)を達成できなくなる等)。阻害要因ともいう

 ・本願発明が主引例と副引例から予測困難な有利な効果を有している

 特許庁審査官は、上記の進歩性の判断基準に基づいて、本願発明の進歩性の有無を判断します。

 そして、特許庁審査官が本願発明の進歩性を欠如すると判断した場合、進歩性欠如を解消するために以下の対応をとります。

 (1)進歩性欠如の拒絶理由が妥当であるか

 (2)進歩性欠如の拒絶理由が妥当でない場合にはクレーム補正なしで反論する。

 (3)進歩性欠如の拒絶理由が妥当である場合にはクレーム補正により対応する。

 まず、(1)進歩性欠如の拒絶理由が妥当かどうかを判断するにあたり、判断するポイントは以下の5点です。

(A)主引例が適切かどうか(主引例適格性の有無)

(B)構成要素の組み合わせが実施例で書いているかどうか

(C)阻害要因があるかどうか

(D)主引例と副引例を組み合わせたとしても本発明の構成要素を導き出せないかどうか

(E)引例から予測できない有利な効果があるかどうか

(A)について

 まず、その引例が果たして主引例として適切かどうか検討することが重要です。

 主引例としての適格性があるかどうかを基礎づける最も有効なものは、「課題の共通性」です(参考「裁判例から見る進歩性判断 高橋淳著」)。

 もし、本発明の課題と主引例の課題とが共通するものではなく、異質なものであれば、それを根拠に引例は主引例としての適格性に欠けると主張することは有効です。

 ただし、引例に本発明の課題が開示されていなくても、当業者が周知の技術事項を踏まえて主引例の内容から本発明の課題を有していると判断できる場合は上記のような主張は難しいです(参考:「自動車用ペダル取付け装置事件」)。

 また、「課題の共通性」以外にも、引例に、本発明の構成要件を否定するような記載があれば主引例として適切ではないと主張することも有効です。

 主引例が適切でない場合は、審査官の進歩性欠如の拒絶理由の前提そのものが崩れることになるので、クレーム補正なしで拒絶理由を解消できることは可能です。

(B)について

次に、構成要素の組み合わせが実施例で書いているかどうか検討します。

これは材料系の分野でよく行われます。

 例えば、本発明の構成要素がAとしてaを用い、Bとしてbを用いるものとして、主引例の実施形態にAの例示としてaが開示されており、Bの例示としてbが開示されていても、実施例でaとbを組み合わせていなければ、aとbの組み合わせそのものは主引例に開示されていないことになります。

 しかし、審査官では、aとbの組み合わせまでも主引例に開示されていると判断している場合がありますので、この点についてしっかりと検討する必要があります。

 これだけではイメージがつかない方も多いと思うので具体例の項目にて詳しく説明していきます。

(C)について

 次に、阻害要因があるかどうか検討することが重要です。

 例えば、副引例が主引例を否定するような場合、具体的には主引例に副引例を適用するとおかしなことになる場合には阻害要因があるとして反論できます。

 これだけではイメージがつかない方も多いと思うので具体例の項目にて詳しく説明していきます。

(D)について

 次に主引例と副引例を組み合わせたとしても本発明の構成要素を導き出せないかどうか検討することが重要です。

 例えば、本発明の構成要素がA、B、C、D、Eとして、主引例がA、B、Cであり、副引例にはEは開示されているが、Dが開示されていない場合に、主引例と副引例を組み合わせても構成要素Dは導き出せません。

 このように、主引例と副引例を組み合わせても導き出せない構成要素があれば審査官の認定は誤りと反論できます。

(E)について

 次に引例から予測できない有利な効果があるかどうか検討することが重要です。

 有利な効果については、「引例と同質の効果だが、引例に比べると顕著な効果」「引例とは異質な効果」の2つのパターンがあります。

 実務経験からいうと、前者の場合には主張が難しいものの、後者の場合には主張がとおりやすい傾向にあります。

 ただし、拒絶理由の解消のための対応案として「有利な効果」のみの主張では心細いので、(A)~(D)のいずれかとプラスアルファの位置づけで主張しておくのがよいです。

 もし、進歩性欠如の拒絶理由が妥当である場合にはクレーム補正により対応します。

 クレーム補正では、特に(C)主引例と副引例を組み合わせたとしても導き出せないような構成要素を特定することを検討します。

 それに加えて、その特定した構成要素により、有利な効果を主張できないかどうかあわせて検討することが重要です。

 これだけではイメージがつかないと思うので実際に具体例を用いて進歩性欠如の拒絶理由の解消方法を検討していきます。

具体例

 では酸素を吸収するペットボトルの発明を具体例として進歩性欠如の拒絶理由の解消方法の説明をしていきます。

 まず、この発明の「背景技術」「課題」「解決手段」「効果」についてお話しします。

 「背景技術」

 従来、食品や医薬品を収容する容器では、容器内に外部から酸素を侵入することが重要です。

 容器内に酸素が侵入してしまうと、食品や医薬品の品質が劣化してしまうためです。

 そこで容器の外部に酸素の侵入を防ぐための酸素バリア層が形成されています。

 しかし、容器に食品や医薬品を収容する過程などにおいて容器内に酸素が存在してしまうことがあります。この場合、すでに容器内に存在している酸素による食品や医薬品の品質の劣化を防ぐことはできません。

 そこで、容器内に、容器内の酸素を吸収して、食品や医薬品の品質の劣化を防ぐ酸素吸収材も収容することが考えられます。この場合、例えば、小袋状の酸素吸収材(脱酸素剤)を容器に封入したりします。

 「課題」

 しかし、飲料水のペットボトルの場合には、収容物が液体であるため、酸素吸収材を容器に封入することはできません。

 そこで、飲料水用であっても外部からの酸素の侵入を防ぐことができ、しかも内部に存在してる酸素を効率よく吸収できるペットボトルを提供することが課題にあります。

 「解決手段」

 この発明では、上図のとおり、ペットボトルは、ペットボトルの内部から外部に向かって、「保護層」「酸素吸収層」「酸素バリア層」の3層で構成されています。

 「酸素吸収層」は、容器内に存在する酸素を吸収する役割を持っています。この発明では、酸素吸収層の材料として、特定の酸素吸収材と熱可塑性樹脂を組み合わせることにより、酸素吸収性を高めることができることを特徴とします。

 「保護層」は、液体と酸素吸収材が接触するとまずいので、液体と酸素吸収材との接触を避けるための役割をもっています。この発明では、保護層の材料として、酸素透過度が特定値以上の熱可塑性樹脂を用いることにより、容器内の酸素を酸素吸収層に浸透しやすくできることを特徴とします。

 「酸素バリア層」は、外部からの酸素の容器内への侵入を防ぐ役割をもっています。

 この発明をクレーム(特許請求の範囲)であらわすと以下のようになります。

※実際にクレームを書くにあたって、「特定の~」と記載するのはまずいですが、今回は便宜上簡略化しています。

【請求項1】

 飲料水を収容するために用いられるペットボトルであって、

 ペットボトル内部から外部に向かって、保護層、酸素吸収層、及び酸素バリア層が形成されており、

 前記保護層が、特定値以上の酸素透過度を有する熱可塑性樹脂を含み、

 前記酸素吸収層が、特定の酸素吸収材と、熱可塑性樹脂とを含む、

 ペットボトル。

 「効果」

 飲料水用であっても外部からの酸素の侵入を防ぐことができ、しかも内部に存在してる酸素を効率よく吸収できるペットボトルを提供できます。

 「進歩性欠如の拒絶理由」

 このペットボトルの発明に対し、特許庁審査官から、この発明は下記引例1と引例2により、進歩性を欠如すると指摘されました。具体的には以下のとおりです。

 引例1には、ペットボトルに関する発明が記載されています。

 審査官は、引例1のペットボトルは、「内層」「中間層」「外層」の3層で構成されており、それぞれの層の役割は、それぞれ本発明の「保護層」「酸素吸収層」「酸素バリア層」に相当すると指摘しています。

 ただし、引例1には、本発明のように「酸素吸収層」の材料である酸素吸収材が特定の成分を用いていない点で本発明と相違します。

 これに対し、引例2には、酸素吸収材として、本発明のような特定の成分を用いることが記載されています。

 そこで、審査官は、引例1で用いられる酸素吸収層の成分に代えて、引例2のような成分を用いれば本発明は容易に成し遂げることができるとして進歩性を欠如すると判断したとします。

 表にまとめると以下のような感じです。

本発明 引例1(主引例) 引例2
 飲料水を収容するために用いられるペットボトル  〇
  保護層  〇
   特定値以上の酸素透過度を有する熱可塑性樹脂を含む  〇
  酸素吸収層  〇
   特定の酸素吸収材を含む  ×
異なる酸素吸収材を用いている

(周知文献として引用)
   熱可塑性樹脂を含む  〇
  酸素バリア層  〇

 「分析」

 では、この拒絶理由に対して分析して特許を取るための対応を検討します。

 分析するためのステップは以下のとおりです。

 1.審査官の指摘が妥当か検討。

   クレーム補正なしで対応できないか。

    (A)主引例が適切かどうか(主引例適格性の有無)

    (B)構成要素の組み合わせが実施例で書いているかどうか

    (C)阻害要因があるかどうか

    (D)主引例と副引例を組み合わせたとしても本発明の構成要素を導き出せないかどうか

    (E)引例から予測できない有利な効果があるかどうか

 2.(クレーム補正なしで対応できない場合)新しい構成を追加して引例と差別化できないか。

 では実際に検討します。

 まず、クレーム補正なしで対応できないか検討します。

 まず、(A)ですが、ここでは主引例の適格性はあるものとして進めていきます。

 次に、(B)ですが、ここで、検討するポイントは引例の実施例です。

 実施形態において、保護層の成分と、酸素吸収層の成分が開示されていたとしても、実施例でそれらの成分を組み合わせていなければその組み合わせ自体は書いていないと突っ張れることができるからです。

例)

 引例1の実施形態に保護層の成分として、本発明の保護層の成分が例示されており、酸素吸収層の成分として、本発明の酸素吸収層の成分が例示されている。

 しかし、引例1の実施例には、本発明の保護層の成分と、酸素吸収層の成分を「組み合わせて」いない。

 そうすると、組み合わせ自体は引例1に書いていないといえる。

 しかも、本発明の保護層の成分を用いる技術的意義、本発明の酸素吸収層の成分を用いる技術的意義のいずれかが書いていなければ、その組み合わせを引例1から想定しえないと主張できる。

 

 例えば、本発明の保護層の成分を用いる技術的意義が、容器内に存在している酸素を酸素吸収層に浸透しやすいことだけでなく、酸素吸収層の成分との接着性に優れるものであり、この接着性について引例1には何ら開示されていないとします。

 そうすると、例えば、以下のような主張により特許性が高くなります。

 引例1には、保護層に用いる成分の技術的意義として、酸素吸収層との接着性を高めることについて何ら開示されていません。

 そうすると、本発明のように、保護層と酸素吸収層との接着性を高めるために、保護層の材料を特定の成分とし、酸素吸収層の材料を特定の成分としてこれらを組み合わせることは引例1から導き出すことはできません。

 単に実施例で組み合わせていないから、引例1に組み合わせは開示されていないとするよりも、このように技術的意義も踏まえて、組み合わせる発想は思いつかないと主張するのが有効です。

 

 少し脱線しましたが、この引例1には、検討したところ、引例1の実施例は、酸素吸収材が特定の成分を含むこと以外は本発明の構成と一致します。

 そして、引例2についても審査官の指摘通り、酸素吸収材が本発明のように特定の成分を含むことを開示しています。

 このため、引例1に引例2を組み合わせると、本発明の構成となってしまいますので、書いていないことと突っ張ることは難しそうです。

 

 次に(C)です。これが阻害要因です。

 つまり、引例1に引例2を組み合わせることはできない理由を考えます。

 この理由のポイントとしては以下のとおりです。

・引例2が引例1を否定する内容かどうか。

・引例2の必須構成があり、その必須構成も引例1に適用とするとおかしなことになるかどうか。

 本発明と引例1では、酸素吸収層において、特定の酸素吸収材と熱可塑性樹脂を組み合わせることを必須としていますが、引例2では、特定の酸素吸収材と熱可塑性樹脂を混錬したりして組み合わせることを否定している内容が記載されているとします。

 この場合には、引例2は、(特定の酸素吸収材と熱可塑性樹脂を組み合わせることを必須とする)引例1を否定する文献ですから、引例1と引例2を組み合わせることは当業者は想定されないと反論することができます。

 あるいは、引例2では、酸素吸収層として、特定の酸素吸収材と、特定の成分を組み合わせることが必須であると記載しているとします。この場合、特定の酸素吸収材だけを切り離して、引例1に適用することは妥当ではありません。

 すなわち、当業者であれば、引例1に酸素吸収材として特定の酸素吸収材と特定の成分をいっしょに適用することが想定されます。

 しかし、引例1に特定の成分を含めてしまうと、引例1の課題を解決できなくなったりする実情が出てしまう場合には、当業者は引例1に引例2を組み合わせること自体想定しえません。

 このように、引例2の必須構成がある場合に、この必須構成も含めて引例1に適用するとおかしなことになることが主張できれば特許性は高まります。

 

 以上を踏まえて、引例1と引例2に阻害要因がないか検討してみた場合に、今回はこのような阻害要因がなさそうです。

 次に(D)ですが、引例1と引例2を組み合わせると、本発明の構成要件を全て満たします。

 そこで、(E)異質な効果がないかどうか検討します。

 ここでは、(2)と異なり仮に組み合わせることができたとしても引例1と2に対して、異質な効果を有する場合には特許性が認められる場合があります。

 これについても引例1と課題と効果が同じであり、異質な効果といえるものはないようです。

 

 以上を検討したところ、クレーム補正なしでの進歩性欠如の解消は困難ですので、構成を追加して引例との差別化を検討します。

 ここで、差別化を検討するにあたり、組み合わせの議論に踏み込めないか検討します。

 つまり、新たに構成を追加して、「(D)引例と副引例を組み合わせたとしても本発明の構成要素を導き出せないかどうか」に踏み込みます。

 そこで、クレーム補正案として、以下のようなものを検討します。

【請求項1】

 飲料水を収容するために用いられるペットボトルであって、

 ペットボトル内部から外部に向かって、保護層、酸素吸収層、及び酸素バリア層が形成されており、

 前記保護層が、特定値以上の酸素透過度を有する熱可塑性樹脂を含み、

 前記酸素吸収層が、特定の酸素吸収材と、特定の熱可塑性樹脂とを含む、

 ペットボトル。

酸素吸収層における熱可塑性樹脂を、特定の熱可塑性樹脂に限定する補正です。

本発明 引例1(主引例) 引例2
 飲料水を収容するために用いられるペットボトル  〇
  保護層  〇
   特定値以上の酸素透過度を有する熱可塑性樹脂を含む  〇
  酸素吸収層  〇
   特定の酸素吸収材を含む  ×
異なる酸素吸収材を用いている

(周知文献として引用)
   熱可塑性樹脂を含む  〇
     熱可塑性樹脂が特定の樹脂である  ×
   酸素バリア層  〇

これにより、酸素吸収材を特定の成分として、熱可塑性樹脂を特定の樹脂として、これらを組み合わせることは、引例1と引例2を組み合わせても導き出すことができないと主張することができます。

 あとは、適宜設計事項と指摘されないように、本発明の効果を実施例に基づいて引例1と2に対して優れた効果であることを主張すればOKです。

 これらを踏まえて意見書を書くと以下のようになります。

1.審査官の指摘

 審査官は、引例1及び2を引用して、本願請求項1~■に係る発明の進歩性は欠如するとご指摘されています。

2.補正の根拠

 本願請求項1について、明細書段落■■■■に基づいて、熱可塑性樹脂が特定の樹脂であることを特定しています。

 なお、この補正は新規事項の追加ではなく、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たします。

3.進歩性

(1)本発明の特徴

 本発明のペットボトルは以下の構成要件を満たすことを特徴としています。

 「構成要件(I)」保護層が・・・である。

 「構成要件(II)」 酸素吸収層が・・・である。

 「構成要件(III)」酸素バリア層が・・・である。

 本発明のペットボトルは構成要件(I)~(III)を全て備えることにより、飲料水用であっても外部からの酸素の侵入を防ぐことができ、しかも内部に存在してる酸素を効率よく吸収できるペットボトルを提供できます。

(2)本発明と引例との対比説明

 (a)ここで、本発明では、酸素吸収材を特定の成分とし、熱可塑性樹脂を特定の樹脂としてこれらの組み合わせることにより、内部に存在してる酸素を効率よく吸収可能です。これに対して、引例1では、これらの組み合わせについて開示も示唆もなく、内部に存在してる酸素を効率よく吸収するためにこれらを組み合わせること(構成要件(II))は引例1から導き出すことができません。

    ※まずは引例1の構成から本発明が導き出すことができないことを主張します。

 (b)一方審査官殿は、引例1に引例2の酸素吸収材を適用すれば本発明を容易に成し遂げることができると指摘しています。

    しかしながら、これらの文献のいずれにおいても、熱可塑性樹脂を特定の樹脂とすることは開示も示唆もありません。このため、仮に引例1に引例2を組み合わせても本発明の構成要件(II)を導き出すことはできません。

    ※引例の組み合わせでも本発明が導き出すことができないことを主張します。

 (c)本発明は、構成要件(I)~(III)を全て備えることにより、飲料水用であっても外部からの酸素の侵入を防ぐことができ、しかも内部に存在してる酸素を効率よく吸収できるペットボトルを提供できます。このことは本願実施例においても実証されています。

 そして、少なくとも構成要件(II)について開示も示唆もない引例1~2から本発明の効果を予測することは困難です。

    ※効果の予測困難性について主張します。

4.むすび

 以上より、本発明は引例1及び2から進歩性を否定されず、特許性があるものと思料します。

最後に

 以上のように拒絶理由を解消するための方法(今回は進歩性欠如の拒絶理由の解消方法)についてお話ししました。

 以上のやり方がベストかと思いますが、もし不明な点等があればご遠慮くなくご質問などを頂ければと思います。

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以上

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