特許

トリーズ(TRIZ)ってなんだ!?使えるの?現役弁理士が解説します

投稿日:

 僕は、とある法律事務所で働く弁理士(ツィッター@mayaaaaasama)🙈

f:id:mayaaaaasama:20190622224128p:plain

今回は「トリーズ(TRIZ)ってなんだ!?使えるの?現役弁理士が解説します」というタイトルにてお話ししたいと思います。

もし特許の仕事をするのであれば、トリーズについて知っておいた方がよいと思いますのでここでご紹介します。

目次

スポンサーリンク

トリーズ(TRIZ)って知っていますか?

トリーズという言葉を聞いたことがありますか?

僕は以前の特許事務所で同僚の弁理士にトリーズについて話をしたところ、ほとんどの人が知りませんでした。

トリーズ(TRIZ)というのは、「発明的な問題解決の理論(Theory of Inventive Problem Solving)」のそれぞれの文字に対応するロシア語の頭文字4つを並べたものです。

「発明的な問題解決の理論」と言われてもピンとこないかもしれません。

発明というのは何か課題があってそれを解決するための手段です。

例えば、飛行機の翼は、飛行中に破損すると致命的ですから、翼の強度は高くする必要があります。

しかし、翼の強度を高めると、それだけ翼の材料である金属の使用量が増えてしまい重量が大きくなります。

重量が大きくなると燃費が悪くなります。

このため、飛行機の翼には、翼の強度を高くすると、翼の重量を軽くできないというトレードオフが生じます。

トレードオフとは、一方の特性を向上させると、他の特性を犠牲にしなければならないことをいいます。

このトレードオフを解消するのが発明です。

そして、トリーズは、一方の特性の向上と、他方の特性の向上とをバランスよく達成するための解決手段を体系的に導き出してくれます。

飛行機の翼の例では、トリーズを用いると、強度と軽量化とを達成するためには、「組み合わせたものを使え(Composite Structures)」という解決手段が導き出せます。

そして、実際に、飛行機の翼には、炭素繊維強化プラスチックと呼ばれる組み合わせたもの(複合材)を用いてこの課題を解決しています。

この「組み合わせたものを使え」という解決手段は、トリーズの発明原理のうちの1つです。

トリーズでは以下のように発明原理は40種類あります。

  1. Segmentation (分けよ)
  2. Taking out (離せ)
  3. Local quality (一部を変えよ)
  4. Asymmetry (バランスを崩させよ)
  5. Merging (2つを併せよ)
  6. Universality (ほかにも使えるようにせよ)
  7. "Nested Doll" (内部に入り込ませよ)
  8. Anti-Weight (バランスを作り出せ)
  9. Preliminary Anti-Action (反動を先につけよ)
  10. Preliminary Action (予測し仕掛けておけ)
  11. Beforehand Cushioning (重要なところに保護を施せ)
  12. Equipotentiality (同じ高さを利用せよ)
  13. 'The Other Way Round' (逆にせよ)
  14. Spheroidality – Curvature (回転の動きを作り出せ)
  15. Dynamics (環境に合わせて変えられるようにせよ)
  16. Partial or Excessive Actions (大ざっぱに解決せよ、一部だけ解決せよ)
  17. Another Dimension (活用している方向の垂直方向を利用せよ)
  18. Mechanical vibration (振動を加えよ)
  19. Periodic Action (繰り返しを取り入れよ)
  20. Continuity of Useful Action (よい状況を続けさせよ)
  21. Skipping (短時間で終えよ)
  22. "Blessing in Disguise" or "Turn Lemons into Lemonade" (よくない状況から何かを引き出し利用せよ)
  23. Feedback (状況を入り口に知らしめよ)
  24. 'Intermediary' (接するところに強いものを使え)
  25. Self-service (自ら行うように仕向けよ)
  26. Copying (同じものを作れ)
  27. Cheap Short-Living Objects (すぐダメになるものを大量に使え)
  28. Mechanics Substitution (触らずに動かせ)
  29. Pneumatics and Hydraulics (水と空気の圧を利用せよ)
  30. Flexible Shells and Thin Films (望む形にできる強い覆いを使え)
  31. Porous Materials (吸いつく素材を加えよ)
  32. Color Changes (色を変えよ)
  33. Homogeneity (質を合わせよ)
  34. Discarding and Recovering (出なくさせるか、出たものを戻させよ)
  35. Parameter Changes (温度や柔軟性を変えよ)
  36. Phase Transitions (固体を気体・液体に変えよ)
  37. Thermal Expansion (熱で膨らませよ)
  38. Strong Oxidants (「そこを満たしているもの」のずっと濃いものを使え)
  39. Inert Atmosphere (反応の起きにくいものでそこを満たせ)
  40. Composite Structures (組み合わせたものを使え)

出典:TRIZ(ウィキペディア)

 発明原理の種類をそれぞれ1つずつ説明すると、膨大になることからここでは発明原理としてどのようなものがあるかにとどめておきます。

 トリーズを作り上げたのはロシアの特許審査官アルトシューラーでした。

 アルトシューラーは、問題の解決方法を抽象化して、発明原理は40種類しかないと考えたのです。

 たった40種類しかないってすごくないですか?

 一方の特性と他方の特性をバランスよく両立するには、40種類の発明原理のうちどれかで対応できるというのです。

 しかも特性と言うと、無限にありそうなイメージがしますが、アルトシューラーは特性は39種類しかないとも考えたのです。

 その39種類の特性というのは以下のとおりです。

 1.移動物体の重量

 2.静止物体の重量

 3.移動物体の長さ

 4.静止物体の長さ

 5.移動物体の面積

 6.静止物体の面積

 7.移動物体の体積

 8.静止物体の体積

 9.速度

10.力

11.応力または圧力

12.形状

13.物体の構成の安定性

14.強度

15.移動物体の動作時間

16.静止物体の動作時間

17.温度

18.照度/輝度

19.移動物体の使用エネルギー

20.静止物体の使用エネルギー

21.パワー

22.エネルギーの損失

23.物質の損失

24.情報の損失

25.時間の損失

26.物質の量

27.信頼性

28.測定の正確さ

29.製造精度

30.物体が受ける有害要因

31.物体が発する有害要因

32.製造の容易さ

33.操作の容易さ

34.修理の容易さ

35.適応性または融通性

36.装置の複雑さ

37.検出と測定の困難さ

38.自動化の度合い

39.生産性

参考:トリーズの発明原理40 高木芳徳著

 これについても特性をそれぞれ1つずつ説明すると、膨大になることからここでは特性としてはこういうものがありますよ程度でとどめておきます。

 そして、アルトシューラーは、一方の特性と他方の特性とのトレードオフを解消するには、この発明原理を用いればよいと対応表で表しました。

 この対応表は矛盾マトリクスともいわれています。

 矛盾マトリクスは以下のような感じです。

1.移動物体の重量 ・・・ 9.速度 ・・・ 14.強度 ・・・ 39.生産性
1.移動物体の重量 Taking out
Composite Structures
Parameter Changes
・・・
9.速度 Strong Oxidants
Copying
・・・
14.強度 Composite Structures
Copying
Pneumatics and Hydraulics
・・・
39.生産性 Parameter Changes
Pneumatics and Hydraulics

 例えば、移動物体の重量(軽量性)と強度をバランスよく向上させるには、Composite Structures(組み合わせたものを使え)がよく、上述のとおり、飛行機の翼の場合には、炭素繊維強化プラスチックと呼ばれる組み合わせたもの(複合材)を用いてこの課題を解決しています。

 このように、一方の特性と他方の特性とのトレードオフを解消するために導き出される解決手段をしめしたものが「トリーズ(TRIZ)」といわれるものです。

トリーズは使えない!?

 このように、トリーズ(TRIZ)を学んでおけばあらゆる問題を解決できる発明を生み出せそうに思います。

 しかし、日本の発明者のほとんどがトリーズを知らないと思います。

 日本企業ではトリーズの手法を導入して研究者や技術者に訓練させているようなところもあるようですが、それはほんの一部です。

 なぜ、このようなすごい問題解決の理論は普及しないのでしょうか。

 その理由としては、実際の問題に適用するとあまりにも抽象すぎるというのが理由に挙げられますし、発明原理が40種類とはいえ、40種類は多すぎるというような理由も挙げられます。

 そうすると、トリーズとは結局はもう古くて使いものにならないようなものでしょうか。

 確かに40種類は多すぎて覚えるのが大変ですが、これらの原理を覚えておけば40もの発想の引き出しがあるわけであり、アイデアがポンポンと浮かびやすくなりますし、発明者でなくても人生が豊かになっていくと思います。

 また、弁理士など特許に関する仕事をする方であれば、40もの発明原理の種類を覚えなくてもそういう考えた方があるということだけでも知っておくと実務で使えます。

 その理由を以下にお話しします。 

弁理士がトリーズを知っておくことのメリット

 弁理士がトリーズを知っておけば、特許の実務で役に立ちます。

 特許の実務では、特許明細書を書くことがほとんどだと思います。

 特許明細書では、発明のアイデアが斬新であり、有用であることを伝えるために、「背景技術」「解決しようとする課題」「解決手段」「効果」の順序で書いていきます。

 「効果」は「課題」の裏返しのようなものです。

 例えば、課題が「軽量性と強度を両立させることが目的」であるならば、効果は「軽量性と強度を両立できる」ということになります。

 そして、解決手段が「発明」に相当するものです。

 そして、なぜトリーズを知っておくのが有効かというと、課題というのはトレードオフである場合がほとんどだからです。

 つまり、一方の特性と他方の特性とのトレードオフを解消するために導き出される解決手段をしめしたものが「トリーズ(TRIZ)」です。

 トリーズの考え方を知っておけば、「背景技術」「解決しようとする課題」「解決手段」「効果」のストーリーを書きやすくなります。

 例えば、上述の飛行機の翼を例に説明します。

「背景技術」飛行機の翼は破損すると致命的。破損を防止するために金属の量を増やして強度を高めていた。※強度が一方の特性。

「課題」金属の量を増やすと、翼の重量が大きくなる。このため、燃費が悪くなる。※軽量性が他方の特性。

「解決手段」飛行機の翼の材料を炭素繊維強化プラスチックとした。

「効果」強度と軽量性をバランスよく両立できた。

 実は、トレードオフが生じることを課題とすると、発明のストーリーも明確になり(従来技術との対比が明確になり)、特許を取り易くなります。

 一方で、発明者はトリーズの考え方も知らないことが多く、単に炭素繊維強化プラスチックを用いると、軽量性を向上しましたとしか伝えてこない場合があります。

 このとき、何の特性と何の特性をバランスよく向上できたのか発明者に聞きだして、トレードオフに持ち込めば特許も取り易いものとなりえます。

 さらに好ましくは40もの発明原理と39の特性を知っておくと、〇〇(一方の特性)と△△(他方の特性)のトレードオフを□□(発明原理)により解消したという3つの穴を埋めることができます。

 このため、特許明細書の内容も充実して強い特許となりえます。

 以上のとおり、40もの発明原理を全て覚えなくてもトリーズの考え方をしっておくのは弁理士や特許技術者にとって重要かなと思います。

 もし、トリーズについてもっと深く知りたいという方は、「トリーズの発明原理40 高木芳徳著」が分かり易くておすすめです。

 実際にこのブログの記事も本書を参考に書いています。


トリーズ(TRIZ)の発明原理40 あらゆる問題解決に使える[科学的]思考支援ツール

 また宣伝で恐縮ですが、わたくし士業男子やまが近々特許事務所を立ち上げる予定であり、もし知的財産についてご相談があればぜひご連絡をいただければと思います。

 相談は無料です。メールでもテレビ電話でもじかに会ってご相談でもどんな形であれ対応します。

 ぜひよろしくお願いします!

 また弁理士はこれらの知財のスペシャリストです。

 知財に興味をもったら、弁理士目指してみませんか。

 弁理士の資格勉強方法はコチラで紹介しています。

>>弁理士試験のおすすめの勉強方法を紹介します。この方法で1年弱の勉強量で合格しました。

以上

開業予定の特許事務所です。お仕事の依頼があれば是非!

-特許

Copyright© 弁理士ブログ|とある士業の知的な日常 , 2019 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.