弁理士 特許

クレームドラフティングのコツを弁理士が図解で解説します

更新日:

士業男子やま
こんにちは。士業男子やまです!

クレームがうまく書けないようなあ・・・なんかコツとかないのかなあ・・・

士業男子やま
今回はこうした疑問に答えます!

わたくし士業男子やまはこれまでに関西の特許事務所2か所・TMI総合法律事務所にて特許明細書を300件以上書いてきました。

特に構造物・化学の分野は得意とするところです。

そこで、今回は「クレームドラフティングのコツを弁理士が徹底解説」というタイトルにてお話しします!

今回の記事は以下のような方を読者に想定しています!

参考

クレームドラフティングで悩んでいる弁理士・特許技術者の方。

目次

クレームドラフティングが上手くいかない理由

 クレームドラフティングが上手くいかない理由は、いつも通りのマニュアルに沿っていないからです。

 まずは〇〇をして、次に〇〇をして、その後は〇〇・・・といった具合にクレームドラフティングのマニュアルがないとうまくいきません。

 またマニュアルだけでなく、クレームの型も身につけた方がよいです。

 マニュアルと型を身に着けていれば、高速で上手くクレームを作成することができます。

 逆に、マニュアルと型が身についていないといつまでたっても時間がかかり、おかしなクレームになったりして上手く行きません。

 そこで、僕が実践しているマニュアルと型について以下に簡単な事例を交えてお話しします。

ここまでのまとめ

クレームドラフティングが上手くいかない理由

・マニュアルに沿っていないから

・マニュアルと型を身につければどんな分野でもクレームは書ける!

クレームドラフティングのマニュアル

 クレームドラフティングは以下の5つのステップで行います。

ポイント

1.技術理解

 ※発明に最も近い先行技術文献を読み込む

2.発明の構成要素抽出

 ※発明の構成要素を抽出する。あわせて各構成要素の効果も理解する。

3.対比表作成

 ※先行技術文献と発明の対比表を作成する

4.メインクレームの構成要素決定

 ※対比表を元に、先行技術文献から新規性がでるようにメインクレームに含める構成要素を決定する

5.サブクレームの構成要素決定

 ※メインクレームの冗長な記載を避け、簡潔に記載する。

 まずはこのステップをしっかりふむことをおすすめします。

 これだけだとイメージがわかないと思いますので、以下に事例をふまえてお話しします。

メモ

 発明品「背もたれのついた椅子」

 従来品「丸太でできた椅子」

クレームドラフティングのコツ1.技術理解

 まずは発明の背景技術をしっかりと理解します。

 技術理解は、専門書を読む必要はありません。

 専門書を読んで勉強していると時間がかかって非効率かもです・・・

 発明に最も近い先行技術文献(特許文献)を読みこなすことをおすすめします。

 発明に最も近い先行技術文献は、自分で探すと面倒なので、クライアントの発明者に依頼しておきましょう。

 先行技術文献では、先行技術の背景から効果までの記載はしっかりと読んでおきましょう。

 これだけでも十分に技術を理解できます。

 また、先行技術文献のクレームから表現が参考になることも大いにありますので、クレームでどのように表現されているのかしっかりと見ておきましょう。

クレームドラフティングのコツ2.発明の構成要素抽出

 つぎに、発明の構成要素を抽出しましょう。

 発明には必ず発明を構成する要素が2つ以上あります

 そして各要素の役割についても理解しておきましょう。

 役割をまず知っておくことが発明の概念を知るとともに、権利範囲の広いクレームを書くことができるために重要です。

 また、各構成要素の位置関係も把握しておきましょう。

 クレームを書くときに、構成要素が他の構成要素と独立して浮いているようでは、正確に発明を表現したものといえないです。

 以下のような感じで構成要素と各構成要素の役割を抽出していきます。

 発明

 構成要素A・・・役割

 構成要素B・・・役割

 構成要素C・・・役割

 構成要素A、B、Cの位置関係

 では、背もたれのついた椅子について構成要素を抽出していきます。

 

 

発明(背もたれ椅子)

 ・座部材・・・・・使用者が着座するための部材

 ・背もたれ部材・・使用者が背を当接するための部材

 ・脚部材・・・・・座部を支持するための部材

 各構成要素の位置関係

 〇背もたれ部材は座部材の後部に形成されている

 〇脚部材は座部を支持する

 このような感じで発明の構成要素を抽出していきます。

クレームドラフティングのコツ3.対比表作成

 次に、先行技術文献と発明との対比表を作成します。

 ここでは、発明品だけでなく従来品についても構成要素を抽出して発明の各要素が従来品に含まれているかどうかを検討していきます。

 具体的には以下のような感じです。

本発明従来品
背もたれ部材×
座部材
脚部材×

 この例では、先行技術文献の数が1つの場合を例示していますが、2つ以上ある場合には、さらに2つ目の従来品についても要素を抽出して検討していきます。

 ここでは、簡単に例示していますが、この対比表を作成することによって、メインクレームで特定するための最低限必要な構成要素を決定することができます。

クレームドラフティングのコツ4.メインクレームの構成要素決定

 3.で作成した対比表をもとに、メインクレームを仕上げていきます。

 上の対比表に基づいて検討していくと、「背もたれ部材」と「脚部材」については従来品にはない特徴をもっています。

 そうすると、従来品から、少なくとも「背もたれ部材」を特定すれば従来品に対して新規性を主張することができます。

 そこで、メインクレームで特定すべき構成要素は、「座部材」と「背もたれ部材」の2つの要素ということになります。

 「脚部材」については、サブクレームで特定すればOKです。

 対比表に基づいてメインクレームを作成すると以下のようになります。

【請求項1】

座部材と、

座部材の後部に形成され、使用時に使用者の背を当接する背もたれ部材と、

を含む椅子。

 赤色マーカにて、座部材と背もたれ部材の位置関係を特定することにより、各要素が浮いたような表現にならず、

 青色マーカにて、役割を特定することにより、アイデアを広い範囲でとれるようなクレームとすることができました。

 このように、クレームドラフティングでは、役割と各構成要素の位置関係を特定するとすっきりしますし、明確なクレームとなりえます。

クレームドラフティングのコツ5.サブクレームの構成要素の決定

 さらに、サブクレームも作っていきます。

 サブクレームでは、上図のように、進歩性の落としどころとなるような構成要素を特定していきます。

サブクレームの作り方

 ここでサブクレームの作り方を補足します。

 サブクレームを作る上でポイントとなるのは「2つ」しかありません。

・縦の展開(進歩性の落としどころ)

・横の展開(カテゴリーを変える)

 権利範囲は当然広くとっておきたいものです。そこで、メインクレームは少なくとも新規性を確保できるポイントだけを特定するにとどめます。

 ただし、それだけでは審査官が特許性を認めてくれるケースは少ないです。そしてメインクレームだけだとそこで審査は終わってしまいますので発明のどの範囲まで特許性が認められるかがわかりません。

 そこで、特許性が認められる段階まで発明のポイント(構成)を特定していきます。

 例えば、上記の椅子の例で例えるならば、

 請求項2 座部材を支持する脚部を備えた請求項1記載の椅子。

 請求項3 座部材と、背もたれ部材とが一体成形された請求項1又は2記載の椅子。

 というようにポイントを特定していきます。

 ちなみに請求項2のように新たな構成を追加することを「外的付加」、請求項3のようにすでに特定した構成をさらに限定することを「内的付加」といいます。

 また横の展開も考えます。

 カテゴリーを物クレーム以外に、製造方法クレーム、単純方法クレームについても考えます。 

 例えば、〇〇組成物という発明があって、それが複屈折率を向上させるという機能があるとします。

 ここで、〇〇組成物についてはすでに先行技術文献に開示されており、物としては特許を取ることが難しそうです。

 この場合は権利化を断念しないといけないでしょうか。

 しかし、先行技術文献では複屈折率を向上させるという機能については書かれていません。

 そこで、例えば、「〇〇組成物を用いて複屈折率を向上させる方法」といったカテゴリーを変えることも検討してみます。

 カテゴリーは主に3つで物、製造方法、単純方法です。これらに特徴がないか検討してみることも重要です。

クレームドラフティングの型について

 今回は、とても簡単な例を用いて、クレームの書き方のステップを解説していきました。

 以上のようなマニュアルに沿ってクレームを書けばクレームドラフティングも上達していきます。

 後は経験です。場数を踏んでいけばクレームドラフティングはどんどん上達していきます。

 ここで、クレームの型についても身につけておきましょう。

 僕が使っている型をご紹介します。

 クレームの書き方は、主に構成列挙型です。

 具体的には、以下のような感じです。

ポイント

Aと、

Bと、

Cと、

を含むX。

 このような書き方は、Xの構成要素であるA、B、Cが箇条書きのように列挙されているので構成列挙型と呼ばれています。

 ただし、構成列挙型には更に2つのタイプに分類されます。

 上記の椅子の例で言うと、以下のような感じです。

〇タイプA

【請求項1】

座部材と、

座部材の後部に形成され、使用時に使用者の背を当接する背もたれ部材と、

を備える椅子。

〇タイプB

【請求項1】

座部材と、背もたれ部材とを含み、

背もたれ部材は、座部材の後部に形成され、使用時に使用者の背を当接する椅子。

 これらの違いは、背もたれ部の説明を前に出すか、後に出すかの違いです。

 タイプBの場合には、登場人物である構成要素を最初に出して、そこから各構成要素の説明をしていきます。

 これは特許事務所の指導によってマチマチかと思います。指導者の好みの問題です。

 ただし、タイプAの型を身に着けておくことがおすすめです。

 その理由は以下のとおりです。

・漏れがなくなる

・書きやすい

 タイプAの場合には、「座部材と、座部材の・・・当接する背もたれ部材と、・・・」というように、前に出てきた構成要素を受けて、別の構成要素が登場してきます。

 このような書き方に慣れておくと、漏れがなくなるとともに、構成要素が一人だけ浮いてしまうというような問題も解消されます。

 是非この型を身に着けておくことをおすすめします。

クレームドラフティングのまとめ

 以上の通り、クレームドラフティングのコツについてお話ししました。

 これらを身に着け、経験を積んでいけば短期間で上達できます。

 ただし、ノウハウだけ知っておいても意味がありません。覚えたことはすぐ実践しましょう。

 もし不明な点があれば僕にまで相談OKです。

 

   特許請求の範囲(クレーム)は、たった1文ですが、その1文が莫大な利益を引き起こしたり、莫大な損失をもたらしたりする重要なものです。

 それゆえ、特許請求の範囲を上手く書けるようになれば、相応の報酬を稼ぎ出すことができます。

 もし、特許で収益を上げたいのであれば弁理士を利用することをおすすめします。

 わたくし士業男子やまもぜひお手伝いさせていただければと思います。

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以上

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