弁理士 特許の書き方

特許のクレームの書き方を弁理士が解説【初学者向け】

更新日:

悩んでいる人
クレームがうまく書けないや。

上司にクレーム案を見せると何度もやり直しをさせられて、しまいには上司にとりあげられるから一向に力がつかないんだよなあ・・・

どうしたら上司のチェックなしで書けるようになるのかなあ・・・

こうした疑問に答えます。

僕も特許事務所に入って数年間クレームの書き方がわからず苦労した経験があります。

そこで2つ目の特許事務所で経験30年以上のベテラン所長にマンツーマン指導を受けてもらいようやく書けるようになりました。

今回は、クレームの書き方がよく分からない弁理士や特許技術者の方向けに、ベテラン所長から指導を受けたクレームの書き方をご紹介したいと思います。

今回は、まずはメインクレームの書き方についてお話しします。

 

目次

特許のクレームの書き方

クレームは、以下のステップで作っていきましょう。

①発明に近い先行技術文献を読む

②発明の構成要素を抽出する。

③発明と先行技術文献との対比表を作成する。

④対比表からメインクレームの構成要素を決定する。

 

これだけだとイメージがつかめないと思うので、簡単な事例を踏まえて以下①~④について説明します。

事例

発明品「背もたれのついた椅子」

先行技術「丸太でできた椅子」※従来には座部に背もたれを設けるという発想はなかった

①発明に近い先行技術文献を読む

弁理士は自分の専門外の分野の明細書も書くことになります。

専門外の分野については、技術を理解していないと明細書を書くことは難しいです。

しかし、わざわざ専門書を買って読む必要はありません。

 

発明に最も近い先行技術文献さえ読んでいればOKです。

読むポイントは、先行技術文献の背景技術から効果までの記載のところです。

この記載だけ読んだだけでも技術の基本的なところが理解でき、明細書を書くにあたりこれで十分なことが多いです。

用語が不明ならGoogleで調べましょう。

 

またクレームを作る上で、表現をどうすべきかマヨかもしれませんが、先行技術文献のクレームの表現も参考になりますので、しっかりとクレームも読んでおきましょう。

②発明の構成要素の抽出

発明には必ず構成要素が2つ以上あります。

構成要素は役割とセットで抽出します。

 

例えば、上の背もたれ椅子の場合だと構成要素は以下のようになります。

・座部材 (役割)使用者が座るための部材

・脚部材 (役割)座部材を支持するための部材

・背もたれ部材 (役割)使用者が背を当接するための部材

 

なおクレームでは、役割で構成要素を特定する場合があります。

そうすると、その役割を満たすものであれば、いかなるものも範囲に含めることができ、クレームの範囲は広くとることができるからです。

③対比表の作成

発明の構成要素を抽出したら、今度は、先行技術と比較していきます。

具体的には以下のような感じです。

対比表を作成するメリットは、発明品と先行技術との差異が明確になることです。

上の図では、先行技術が1つですが、実際には先行技術は2つ以上あることが多く複雑になります。

対比表を作成することで、複数の先行技術に対する発明の特徴が明確になり、クレームで無駄に限定することを避けることができます。

④メインクレームの構成要素を決定

③で対比表を作成したら、メインクレームで最小限必要な構成要素を導き出すことができます。

この構成要素をメインクレームで表現すればOKです。

上の椅子の例では、「背もたれ部材」と「座部材」さえあればよく、「脚部材」はメインクレームに不要です。

そして、これらの構成要素をメインクレームで表現します。

メインクレームの表現方法はいくつかありますが、「と書き」の構成列挙型クレームが簡潔かつ読み手にも理解しやすいのでおすすめです。

「と書き」の構成列挙型クレーム

Aと、

Bと、

Cと、

を含むX。

 

 背もたれ椅子をと書きの構成列挙型クレームで表現すると以下のようになります。

【請求項1】

座部材と、

使用者が前記座部材に着座したときに使用者の背を当接する背もたれ部材と、

を含む椅子。

 

ここで、メインクレームを作る時に、各構成要素の位置関係を特定することは重要なので覚えておいてください。

上のクレームでは、背もたれ部材の説明の中に座部材が登場していることがわかります(赤字)。

このように各構成要素の位置関係を明確にしておくと、クレームの表現が不明瞭となりにくくより正確に伝わりやすくなります。

 

 クレームを書いた時に、書いたクレームで「絵」が描けるかという点も重要です。

「絵」が描けないようであればそのクレームは不明確な可能性が高いです。

 

構成列挙型のクレームの書き方の説明は過去記事でも書いています。

特許請求の範囲の記載形式は3つ|要素列挙型について徹底解説

続きを見る

特許のクレームの書き方のまとめ

①発明に近い先行技術文献を読む

②発明の構成要素を抽出する。

③発明と先行技術文献との対比表を作成する。

④対比表からメインクレームの構成要素を決定する。

 

 あとは経験を積んでいけば短期間で上達できます。

 今回は椅子の例を用いて簡単に説明しましたが、今後はより複雑な発明について事例を挙げながら紹介していく予定です。

 今後もご覧いただければと思います。

 もしわからないことがあればご相談してもらっても構いません。

 メールかツィッターのDMで答えます。

弁理士やまが所長の特許事務所はこちらです。

特許・商標出願代行に加えサイト運営などのWEBコンサルのサービスも提供しています。

料金表などについてはこちらをご覧ください。

ツィッターでも発信中。フォローして頂けると嬉しいです!

Youtube始めました。チャンネル登録していただけると嬉しいです。

 

 

-弁理士, 特許の書き方

Copyright© 弁理士ブログ|とある士業の知的な日常 , 2020 All Rights Reserved Powered by AFFINGER5.