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現役弁理士が特許明細書を速く書くために役立つ知識を紹介します

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 僕は、とある法律事務所へ働く弁理士🙈

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 僕は、特許事務所に「7年」ほど勤めています。主な特許業務は特許明細書を書くことですが、今では基本的に2日に1件ペースで書いています。以下のような感じです。

 1日目(先行技術文献読み込み、クレーム作成、実施例、背景技術~効果)

 2日目(実施形態、ブラシュアップ)

 特許明細書が速く書けるようになれば売り上げをどんどん稼ぐことができて年収アップも見込めます。このため、特許明細書が速く書けるかどうかはとても重要です。

 そこで今回は「現役弁理士が特許明細書を速く書くために役立つ知識を紹介します」というタイトルにてお話ししたいと思います。

 今回の記事は、実務者向けを対象とした記事ですが、特許事務所への転職に興味がある方にも実務を効率よくこなす話をしているので参考になると思います。

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「特許明細書を速く書くために役立つ知識」

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 では、「特許明細書を速く書くために役立つ知識」を「7つ」紹介していきます。

 それは以下のとおりです。 

1.類似のワードデータをテンプレに使う

2.段落はマクロ機能を使う

3.先行技術文献の数は1つで十分

4.初稿では解決手段と要約は空欄

5.課題と効果は表裏一体

6.表データはエクセルから形式保持でワードに貼りつける

7.頻出表現は辞書に登録

 以下順番に説明していきます。

1.類似のワードデータをテンプレに使う

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 まず特許明細書を作成するにあたり、類似の案件のワードデータ(庁提出済みの最終原稿のワードデータ)を探してこれをテンプレに使いましょう。

 たいていの発明は改良発明であることが多く、改良前の発明について特許出願されているはずです。その特許出願したワードデータ(最終原稿)をテンプレにしておくととても効率よく明細書を書くことができます。

 その理由は、改良前の発明とは重複する内容も多いのでその内容を改めて書く必要がなく作業効率が大幅に上がるためです。これをやらないで一から書いているととても非効率です。

 ただし、この場合には、不要な部分まで記載がそのまま残ってクライアントに原稿を送ってしまうミスをやりがちです。そこで、おすすめなのがワードデータ全てに「黄色のマーカ」でマーキングしておくのがよいです。そして、新たに書き加えたり、書き直したところはマーカを外しておきます。これにより、未修正分が一目で判別できるため、このようなミスを防ぐことができます。おすすめです。 

2.段落番号はマクロ機能を使う

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 段落番号を手動で入力するのは相当手間がかかります。また、一つ段落が挿入すると以降が繰り上げになり、それを手動で修正するのはとても非効率です。

 そこで段落番号はマクロ機能を使って、自動置き換えできるようにしておきましょう。これについては、ワードの「Visual Basic」を使ったマクロの登録が必要になります。これについては、このサイトがとても参考になるのでおすすめです。

3.先行技術文献の数は1つで十分

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 先行技術文献をたくさん引っ張ることが多いですが、原則1つで十分です。ここで引用する先行技術文献は、発明と課題と構成が最も近いものを引っ張ってきましょう。

 先行技術文献が多すぎると、従来技術と発明との差異が分かりづらくなり、審査官に発明のポイントを伝えることができない印象を与えてきます。先行技術文献が多すぎるとそれだけ分量も多いですし、読み手であるクライアント・審査官も面倒ですし、メリットがほとんどありません。

 ここで、クライアントによっては、先行技術文献をたくさん送ったのに1つしか書いていないことで怪訝に思うところもありますが、その場合には上記のような説明をすれば納得してもらえます。

4.初稿では解決手段と要約は空欄

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 初稿では「解決手段」の項目(クレームの引きうつし)と要約は空欄にしておきましょう。その後に修正を繰り返すので、これらの記載はまた修正をしたりしますので確定してから書いた方が効率的です。また、これらの項目が空欄であっても、コメントで最終原稿で記載しておきますと書いておけばクライアントも何も言わないと思います。

 これらを初稿で書いておくとあとで修正したり手間がかかるので空欄でOKです。

5.課題と効果は表裏一体

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 【課題】と【効果】の記載は表裏一体としましょう。どういうことかというと以下の例のような感じです。

【発明が解決しようとする課題】

…本発明の目的は、優れた耐熱性を発現可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。…

【発明の効果】

…本発明によれば、優れた耐熱性を発現可能な樹脂組成物を提供可能である。…

 このように1対1の対応とすることがポイントです。これは記載が簡略化して書きやすいとともに、1対1の対応とせず、効果に別のものを書いてしまうと、それが権利範囲を限定的に解釈されてしまう虞もありよくありません。課題と効果は1対1の対応であることをしっかりと念頭においておきましょう。

6.表データはエクセルから形式保持でワードに貼りつける

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 特許明細書に表データを貼りつけることはあると思います。特に分野が材料系の場合には多いと思います。

 この場合にエクセルで作成した表データは、形式保持でワードに貼りつけるのがよいです。ワードで右クリックした時に、「元の表の形式を保持(K)」でOKです。

 この理由は「ワードで直接修正できるため」です。もし、エクセルで作成した表データを画像データとして貼りつけると、修正があった場合にまたエクセルを開いて修正して貼り付けしなければいけず作業が面倒です。これに対して、「元の表の形式を保持(K)」にすると、ワードで直接修正できて、エクセルを開く必要がなく作業が単純化します。また、クライアントに原稿を送る際に、クライアントも直接データに修正できるためやりやすいです。

 また、「元の票の形式を保持(K)」をおすすめする他の理由としては以下のものが挙げられます。

 

 ・そのままワードデータをPDF化して切り抜いて図面データを作成できる

 ・後々必要になることもあるので(PCT出願など)、その場合に最終版がワードに貼りつけてあるのでエクセルデータを探す必要がない

7.頻出表現は辞書に登録

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 頻出表現は辞書に登録しておきましょう。

 これは、右下のメニューのIMEのオプションから「単語の登録(O)」を選択することにより登録できます(下図ご参照のこと)。

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 この登録により、文章を入力する手間が省けたり、変換候補をいちいち選ぶ手間も省けます。

 具体的に僕は、かっことして〔〕を使っています。これは単に好みです。ただ、かっこと入力して変換をすると、なかなか最初に出てくれず、いちいち選ばないといけません。

 これに対して、以下のように、かっこを「よみ」として、単語に〔〕を登録しておくと一発で変換されてとても便利です。

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  同様にして、明細書やコメントで多用する表現を登録しておくと便利です。例えば、以下のような表現は登録した方がよいです。

・クライアント向けの定型的なコメント

 例(問題がないかご確認ください。)

⇒よみを「もん」。単語を「問題がないかご確認ください」とする等

まとめ

 以上の通り、特許明細書を速く書くために知っておいた方がいいことをまとめました。このブログでは、特許明細書の書き方についても紹介していますのであわせてご覧いただければと思います。

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  また、特許事務所への転職を考えている方には「失敗しない転職のやり方」について記事を書いていますのでもしよければご覧ください。

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 また、落ちないための弁理士試験についても書いていますのでもしよければご覧ください。

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 以上

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