とある士業の知的な日常

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弁理士がブログでの引用の適切な書き方を徹底解説します

僕は、とある法律事務所で働く弁理士(ツィッター@mayaaaaasama)🙈

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  今では、ブログ、ツィッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSを使って個人が情報を発信する時代です。ほとんどの人が、これらのいずれかのSNSを使って情報を発信していると思います。

 ここで、情報を発信する上で著作権上問題がないだろうか不安に感じている方も多いと思います。

 そこで、前回は、「SNSをやるなら知っておくべき著作権のこと」をお話ししました。過去記事はこちらです。

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  この記事の中で、「引用」を目的として著作物を利用した行為は、著作権侵害を回避できるというお話をしました。これに対し、ブログを書くときに他人の「文章」「画像」を引用する場合、どのように書くのが正しいのだろうかという疑問を持たれる方も多いと思います。

 そこで、今回は、著作権も専門に扱う弁理士が、「ブログでの引用の正しい書き方」を解説します。

目次です

「引用」を目的としたものと認められるために必要な要件

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 まず、ブログでの「引用」の正しい書き方に先立ち、引用として適法であると認められるための要件を説明します。

 この要件を予め理解した上で、「引用」の書き方を知っていると、なぜこのような書き方にしたらよいのかがわかり、理解度も高まります。

 著作権法第32条では、「引用」について以下のように規定しています。

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」

 この規定をまとめると以下の「5つの要件」が必要です。 

(1)引用されるものが、公表された著作物であること

(2)引用しないといけない必然性があること

(3)引用符をつけたりして、引用部分がはっきりと区別できる状態にしてあること

(4)引用部分が量的にも質的な関係においても「小(従)」であること

(5)出所を表示すること

 

 なお、なぜこの規定から、以下の「5つの要件」が導き出されるのかについては過去記事で書いていますので気になる方はご覧ください。

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 ここで、「引用」を正しく書くためには、(3)~(5)を考慮する必要があります。すなわち、「引用符をつける」、「量的質的に引用部分が『従(小)』である」、「出所を表示する」の3つです。

 まず、「引用符をつける」ことは簡単です。引用部分に引用符(””)をつければいいのです。また、「量的質的に引用部分が『従(小)』である」ことも難しくないと思います。これは、ブログの記事全体に対する、引用部分の占める割合を小さくすることと、その引用部分がブログの記事の主の内容であってはいけないということです。

 以上の通り、「引用符をつける」ことと「量的質的に引用部分が『従(小)』であること」については難しくないですが、「出所を表示すること」については悩むかもしれません。どこまで出所を表すればよいのか。例えば、インターネットから拾ってきた画像を引用するとき、出所としてURLだけを記載すればよいのか、またその画像の著作権者も記載しなければいけないのかなど、悩むことが多いと思います。

 そこで、以下では出所の明示について説明します。

出所の明示はどこまで書くべきか

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 著作権法では、第48条に(出所の明示)について以下のように規定されています。ここでは、重要部分のみを抜粋します。

(第1項)

「・・・著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。」

(第2項)

「前項の出所の明示に当たっては、これに伴い著作者名が明らかになる場合及び当該著作物が無名のものである場合を除き、当該著作物につき表示されている著作者名を示されなければならない。」

 第1項では、「出所の明示方法」について、第2項では、「著作者の明示」について規定しています。以下順番に見ていきます。

 第1項では、出所の明示方法について、合理的と認められる方法及び程度に明示しないといけないと規定しています。ここで、「合理的と認められる方法及び程度」というのはどういうことなのだろうかと、疑問に感じる方も多いと思います。要は「もとの著作物にアクセス可能な程度に出所を表示すればよい」ということです。

 例えば、インターネットの特定のサイトにある画像を引用する場合は、そのサイト名とURLを記載しておけばよいです。

 第2項では、「著作者名」についても表示しないといけないとしています。ただし、例外として以下の場合は、著作者名を表示しなくてよいとしています。

・出所を明示したときに著作者名が明らかになる場合

・著作物が無名である場合

 このように、上記の「例外」に当てはまるのであれば「著作者名」を表示しなくてもよいですが、「明らかであるかどうか」は判断が難しい場合もありますので、「著作者名」が分かるのであればできれば記載をしておくのがよいです。

 「著作者名」の調べ方ですが、例えば、上記の例(特定のサイトにある画像を引用する場合)では、サイトのトップページの下に通常©のマークがありますので、そこに記載された著作者名を記載すればよいです。

 以上をまとめます。

・もとの著作物にアクセス可能な程度に出所を表示する

・著作権者もなるべく表示する

・但し、出所を明示したときに著作者名が明らかな場合、著作物が無名の場合は著作権者は表示しなくてよい

ブログでの「引用」の正しい書き方

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 では「ブログでの『引用』の正しい書き方」について上図を用いて具体的に説明します。ここでは、「とある士業の知的な日常」のサイトから上図にある「士業イラスト」を引用することを想定しています。

 まず、画像に引用符をつけて、これが引用部分であるということを明示します(「(3)引用符をつけたりして、引用部分がはっきりと区別できる状態にしてあること」)。次に、引用部分は量的に大きすぎず、ブログの内容の主とならないようにします(「(4)引用部分が量的にも質的な関係においても「小(従)」であること」)。そして、最後に、出所を表示します。ここでは、「とある士業の知的な日常」のサイト名にリンクをはりつけており、更に著作権者として「士業男子やま」も表示しています((5)出所を表示すること)。

 なお、はてなブログでは、「引用」機能がありますがこれを利用するのがおすすめです。例えば、「引用」機能を利用するとこんな感じになります。

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 このようにすることで、上記の引用として認められる要件の3つは満たしえたことになります。また、この「士業イラスト」はすでにネットで公開されていますので、公表された著作物であることも満たします((1)引用されるものが、公表された著作物であること)。後は、引用しないといけない必然性があれば((2)引用しないといけない必然性があること)、「引用」として認められます。

「引用」の必然性がない場合どうすべきか

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 以上のように、「ブログでの引用の正しい書き方」を説明しました。ここで注意すべきは、引用を正しく書いたとしても、「引用の必然性」が認められないと「引用」として認められないので著作権侵害となります。

 例えば、ブログの記事と無関係な写真を「装飾」のために掲載するのは、「引用の必然性」があったといえません。この場合は、フリーの写真・イラストを利用するか、あるいは自作しましょう。ここで、イラストを自作してみるのも、ブログにオリジナリティが出てよいと思いますし、実際僕もイラストを多用しています。

 ブログにのせるイラストの描き方を過去記事で書いていますのでよければご覧ください。

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  また、イラストを描くためのおすすめのフリーペイントソフトである「FireAlpaca」の使い方を解説していますのでこちらもご覧いただければと思います

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著作権を扱う職業「弁理士」について

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 筆者は著作権を含めた知財を専門にする弁理士をやっています。但し、著作権自体は実務でやることはほぼなく主な知財は特許です。もし、今回の記事で弁理士に興味をもたれたならば、弁理士の仕事、特許事務所への転職、弁理士の勉強法について過去に記事を書いていますのでご参考頂ければと思います。

(弁理士の仕事)

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(特許事務所への転職)

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(弁理士の勉強法)

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以上