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SNSをやるなら絶対知っておくべき著作権のこと|弁理士が分かり易く徹底解説します。

僕は、とある法律事務所で働く弁理士(ツィッター@mayaaaaasama)🙈

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  今では、ブログ、ツィッター、インスタグラム、フェイスブックなどのSNSを使って個人が情報を発信する時代です。ほとんどの人が、これらのいずれかのSNSを使って情報を発信していると思います。

 ここで、情報を発信する上で著作権上問題がないだろうか不安に感じている方も多いと思います。

  例えば、ゲーム攻略記事のサイトを立ち上げて、ゲーム画像を投稿したけれどこれは著作権の侵害になるのではないかなど。一方で、著作権法は、専門性の高い分野であり、条文を読んでもよくわからずに結局どうなのかよくわからないと思います。

 そこで、今回は、著作権も扱う弁理士が、「SNSをやるなら知っておくべき著作権のこと」についてお話しします。

目次です

SNSをやるなら知っておくべき著作権の知識

 

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  では「SNSをやるなら知っておきたい著作権の知識」について説明します。もし、ブログ、インスタグラム、ツィッター、youtubeなどをやるのであれば、以下の(1)~(5)について最低限知っておいた方がよいです。

 以下の(1)~(5)を知っておけば、これは著作権の侵害としてとして大丈夫かなあという問題を自分で解決できるようになります。

(1)法律には「原則」と「例外」があることを知る

(2)著作物の侵害の成立要件

(3)「引用」が目的なら「例外」として侵害を回避できる

(4)著作権侵害罪は「親告罪」である

(5)「著作権」と「肖像権」は別物であることを知る

 以下、(1)~(5)について詳しく解説していきます。

(1)法律には「原則」と「例外」がある

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 まず、法律の基本的な考え方を知っておくのがよいです。

 その基本的な考え方とは、あらゆる法律には、「原則」と「例外」があることです。法律では、まず原則を規定して、そのあとに例外を規定しており、著作権法においても同様です。

 このため、著作権の侵害行為に「原則」当てはまるものであっても、そのあとの「例外」に当てはまるものであれば、侵害を回避できます。

(2)著作物の侵害の成立する要件

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 著作権法の侵害が成立する要件は、下記の3要件です。

(A)著作物をもとに作成されたものであること

(B)著作物と類似していること

(C)法定利用行為に該当すること

 ここで重要なのは「法定利用行為」です。著作権法では、この法定利用行為の中に「公衆送信」が含まれています(著作権法第23条)。SNSでの著作物の利用行為のほとんどは、「公衆送信」にあてはまります。

 「公衆送信」とは、公衆によって直接受信されることを目的とした、通信における情報の送出行為をいいます。より分かり易く言うと、インターネットを介して、著作物を公開する行為です。このため、例えば、SNSに無断で画像を投稿する行為は、「公衆送信」であり、法定利用行為に該当するため著作権法の侵害に当てはまります。

 但し、これはあくまで「原則」です。「原則」にあてはまっても、「例外」にもあてはまるのであれば「侵害」になりません。 

(3)「引用」を目的とするものと認められると、「例外」として侵害を回避できる

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 上記のとおり、無断でSNSに画像を投稿するような行為は、「原則」著作権の侵害に当てはまります。

 しかし、「引用」を目的とするものと認められると、侵害は成立しません(著作権法第32条)。すなわち、「引用」を目的とするものと認めらえると、著作権者の許可なく画像を投稿しても著作権の侵害は成立しないのです。

 では、「引用」を目的とするものと認められるために必要な要件は何でしょうか。著作権法第32条では(引用)について以下のように規定しています。

「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない。」

 この規定をまとめると以下の4つの要件が必要です。

(a)公表された著作物であること

(b)引用であること

(c)公正な慣行に合致する者

(d)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものであること

 まず、(a)については、著作物がすでに公表(公開)されたものであるということです。言い換えると、未公開の著作物は引用に該当しないということです。

 (b)について、法文上では単に引用としか記載されておらず、「引用」の定義について何ら触れていません。このため、これは引用に当てはまるのかなどと判断することが難しいように思います。

 ただし、判例では、「引用」の用語本来の意味から、「明瞭区分性」と「主従関係性」が必要と解釈されています。

 「明瞭区分性」とは、簡単に言うと、引用符をつけたりして、引用部分がはっきりと区別できる状態にしてあることです。「主従関係性」とは、簡単に言うと、引用部分の占める割合が大きすぎず(「従」となるように)、引用部分は、質的な関係においてもあくまで「小(従)」であるということです。

 (c)について、「公正な慣行」とは具体的にどのようなものか法文上何ら触れていません。

 ただし、判例では、上述の「明瞭区分性」と「主従関係性」と後述の「引用しないといけない必然性」があれば、「公正な慣行」に該当すると解釈されています。

 また、別の判例では、出所明示を怠ると公正な慣行に該当しないと解釈されています。出所の明示は著作権法第48条において義務付けられており、これを怠ると出所明示義務違反罪にもなるため(著作権法第122条)、必ず出所は表示すべきです。

 (d)について、「正当な範囲」とは具体的にどのようなものか法文上何ら触れていません。

 ただし、「正当な範囲」についても、(c)と同様、すなわち「明瞭区分性」「主従関係性」「引用しないといけない必然性」があることが重要であると解釈されています。

 要は、「引用」を目的とするものと認められるために必要な要件として、

公表された著作物である

引用符をつけたりして、引用部分がはっきりと区別できる状態にしてあること

引用部分が量的にも質的な関係においても「小(従)」であること

・引用しないといけない必然性があること

・出所を表示すること

 が必要です。

(4)著作権侵害罪は「親告罪」である

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 著作権を侵害すると、「10年以下の懲役もしくは1000万円いかの罰金またはこれらの併科に処され」ます(著作で法119条第1項)。この規定を見ると、前科持ちになったり、罰金も膨大なことからゾッとされると思います。

 また、上記のとおり、「引用を目的」とするものであれば侵害を回避できますが、「引用を目的」かどうかの判断は曖昧なところが多く、例えば、ゲーム画像を攻略の参考のために投稿するのは「引用の目的」といえず、著作権侵害に該当するのではないかと考える方も多いと思います。

 そこで、知っておきたいことがあります。それは、著作権侵害罪は「親告罪」であるということです(著作権法第123条1項)。すなわち、被害者(著作権者)の告訴がなければ公訴できないのです。この点を知っておくと、侵害についてあまり恐れなくてもよいと思います。

 例えば、上記のゲーム画像の投稿でいうと、これを投稿したことにより、著作権者であるゲーム会社は投稿者を告訴するでしょうか。ゲーム会社としては、告訴するかどうかは経済的損失かどうかで判断すると思います。仮にゲーム画像を投稿しても、そのブログがゲームの購入の促進を買っているものであれば損失どころかむしろありがたい存在であり、告訴はしないと思います。

 また、著作権を侵害しているとは厳密には言えませんし(引用の目的と判断される場合もある)、個人相手に争うことも考えられるでしょうか。この点も疑問です。

 このように、侵害罪の規定を見るとぞっとしますが、「親告罪」であること、更にはそれを掲載することで著作者の経済的損失を被るか否かを判断すれば、過度に著作権侵害を恐れることはないと思います。

(5)「著作権」と「肖像権」は別物である

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 最後に、「著作権」と「肖像権」は別物であることを知っておいた方がよいです。ちなみに「著作権」には罰則規定がありますが、「肖像権」には罰則規定はありません(肖像権を侵害しても犯罪者とならない)。但し、「肖像権」を侵害すると、損害賠償を請求される虞があります。

 「肖像権」は、自身の肖像をみだりに利用されない権利のことです。例えば、ブログに女優の顔写真を引用が目的で投稿したとします。引用が目的なら著作権の侵害を回避できるかもしれませんが、「肖像権」の問題が残っています。人物の画像を投稿する場合には、著作権だけでなく、肖像権についても慎重にした方がよいです。

まとめ

 以上(1)~(5)に基づいて簡単に結論をまとめます。著作物を利用する上でのご参考になればと思います。

・引用が目的であれば、著作物の侵害を回避できる

・但し、引用が目的であると認められるかどうかはグレーゾーン

・著作権の侵害罪は「親告罪」。著作物を利用すべきかどうかは、著作権者が経済的損失を被るかどうかを考えるのが重要。

著作権についてもっと学びたい方におすすめの本

 以上のとおり、SNSをやるなら知っておきたい著作権の知識を紹介しましたが、より理解を深めたいという方におすすめの本を紹介します。本書は入門書ですが、とても丁寧に分かり易いく書かれており著作権を学ぶならおすすめの本です。

著作権法入門 第2版

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著作権を扱う職業「弁理士」について

 筆者は著作権を含めた知財を専門にする弁理士をやっています。但し、著作権自体は実務でやることはほぼなく主な知財は特許です。もし、今回の記事で弁理士に興味をもたれたならば、弁理士の仕事、特許事務所への転職、弁理士の勉強法について過去に記事を書いていますのでご参考頂ければと思います。

(弁理士の仕事)

 

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(特許事務所への転職)

 

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(弁理士の勉強法)

 

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以上