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特許図面を描くのにエクセル(Excel)がおすすめな理由|使用例も説明します。

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僕は、とある法律事務所で働く弁理士🙈

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 弁理士の仕事は、特許明細書を書く仕事です。この特許明細書には、必要に応じて図面(特許図面)も必要です。例えば、構造物の発明の場合、文章だけではその発明が伝わりにくい場合があります。そこで実施品が描かれた図面も用意します。

 この図面は、複雑なものでなければ弁理士が描く場合が多いです。そして、この図面を描くソフトは、様々ありますが僕はエクセルを主に使っています。ちなみに僕は、構造系以外にも化学系の明細書も書くことが多いので、化学式もエクセルで使ってます。

 そこで今回は、「特許図面を描くのにエクセル(Excel)がおすすめな理由」についてお話しします。

目次です

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特許図面を描くのにエクセル(Excel)がおすすめな理由

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 特許図面を描くためのソフトとしては、ペイント、パワーポイント(パワポ)、CAD、イラストレーターなどが考えられます。図面をアウトソーシングする場合、ほとんどがCADかイラストレーターであると思います。特に複雑な図面であれば、CADかイラストレーターのような有料のソフトが必要です。一方で、簡単な図面であればエクセルがおすすめです。その理由は以下の通りです。

(1)フリーソフト、有料ソフトを改めてインストールする必要なし

(2)ハッチング機能がある

(3)方眼紙にできる

(4)ちょっと人目置かれる

 以下順番に説明します。

(1)フリーソフト、有料ソフトを改めてインストールする必要なし

 まず、業務用パソコンであれば、エクセルは当然搭載されていると思いますので、フリーソフトや有料ソフトを導入する必要はありません。フリーソフトはただですが、ネットから業務用パソコンにダウンロードすると、ウィルスの侵入などの危険性も考えられます。言い換えると、安く、安全という点でエクセルはおすすめです。

(2)ハッチング機能がある

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 次に、ハッチング機能があるという点も魅力の一つです。特許図面が断面図の場合、通常ハッチングします。ハッチングとは、図形の中に斜線を複数平行に引くことです。例えば、上図のように、円弧の図形に斜線が複数平行に引かれており、これがハッチングです。

 ハッチング機能というのは、図形を選択すると、複数の斜線が引かれたパターンで塗りつぶしてくれるというものです。パターンは下図のように複数用意されています。

 ちなみにパワポでもこのハッチング機能はあります。

 このハッチングのやり方は、後述の作り方で詳しく説明しています。

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(3)方眼紙にできる

 更に、エクセルは方眼紙にできるという点もおすすめの理由です。(1)と(2)はエクセルでなくパワポでもいけますが、パワポだと方眼紙にできません。そこが、パワポよりもエクセルの方が優れる点です。方眼紙の設定の仕方は、後述の作り方で詳しく説明します。

(4)ちょっと人目置かれる

 さいごに、ちょっと一目置かれるというのが理由です。エクセルは計算用ソフトであると認識が強いため、通常、図面を作成するという認識はもたれません。そこで、エクセルを使って図面を作成していれば、同僚から一目置かれます笑

 実際にLEDパッケージの特許図面を作ってみた(所要時間10分)

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 実際に上図のLEDパッケージの図面と似たようなものを作ってみました。なお、上図の図面は、特表2013-542617号公報のものであり、既に公開されている文献に開示された図面です。

 このLEDパッケージについて簡単に説明します。このLEDパッケージ(符号の100)は、陽極端子111と陰極端子112が設けられた基板110と、この基板110に実装されたLEDチップ120と、基板110上に形成され、LEDチップを封止(保護)する封止部材130と、封止部材130上に形成されたレンズ140を備えています。すなわち、LEDパッケージ100は、基板110と、LEDチップ120と、封止部材130と、レンズ140とを備えています。

 ここでは、上図が断面図であるものと想定して、ハッチもつけることにします。また、細かい符号は省略するものとします。

 以下の工程にて上図を作成できます。

(1)方眼紙の設定

(2)基板110の作図

(3)封止部材130の作図

(4)LEDチップ120の作図

(5)レンズ140の作図

(6)符号の作図

(7)一括選択

 そして、できあがったものがこちらです。

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 このように簡易な図面であればエクセルで簡単に作れます。これを作成するのに10分程度あれば足ります。

 では、この作り方を以下で説明していきます。

(1)方眼紙の設定

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 まず、上図のような感じで方眼紙を作ります。

 やり方は、簡単でエクセルの列幅を8.38から、2.91に変更すればよいです。なぜ、「2.91」であるかというと、エクセルの行幅は、18.75(25pix)であり、エクセルの列幅は、8.38(72pix)であるから、エクセルの列幅をエクセルの行幅に合わせるとすると、25/72×8.38=2.91となるためです。

 具体的なやり方は、まず、下図の▲(赤く示したところ)を選択します。すると、全てのマス目が反転します。

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 次に、下図の通り、アルファベットのマス目のいずれかにマウスポイントを当てて右クリックします。すると、「列の幅」が表示されるのでそれを選択して変更します。

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 方眼紙を作成したところで、まず基板110を作図します。

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(2)基板110の作図

 まずは、「挿入」タブから「図形」の「長方形」を選択し、上図のような長方形を作図します。

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 次にこの長方形にハッチングします。図形を選択し、右クリックすると「図家に書式設定」という項目が表示されますので、それを選択します。すると、赤く示したように右に、ハッチの種類が現れます。この中から好きなハッチを選択すると、上図のようにハッチングできます。これで基板110の作図は完了です。

(3)封止部材130の作図

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 次に封止部材130を作図します。これは、基板110の作図と同じようにします。ただし、ハッチの種類を同じにすると区別がつかないので、別のハッチを使います。これで封止部材130の作図は完了です。

(4)LEDチップ120の作図

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 次にLEDチップ120を作図します。まず、上図のようにチップの本体を基板110の作図と同じようにします。これでまずチップの本体ができあがりました。

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 次に配線を作図します。配線は、上図のようにまず円弧(円の1/4の弧)を描きます。この円弧は、「図形」の中に含まれています。

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 次に、上図のように配線の一端をチップの本体まで延ばします。これは、一端をクリックしてドラッグすれば簡単にできます。

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 次に、上図のように、描いた配線を適切なサイズに調整します。これで、配線が1つできあがりました。

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 でき上がった配線をコピーしてペーストします。そして、そのペーストしたものを選択します。そして、「ページレイアウト」タブを選択すると、一番右端に「回転」が表示されますのでそれを選択して「左右反転」をクリックします。そうすると、上図のように、左右対称の配線ができあがりますので、適切な位置に移動させます。これで、LEDチップができあがります。

(5)レンズ140の作図

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 次に、レンズを作図します。まずは、「図形」の中から、「円弧」を選択し、上図のような半円をつくり、ハッチングもします(ハッチングは(1)で解説済み)。

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 次に、上図のように、作成した半円を変形します。変形したものを封止部材の上に位置させます。ここで、LEDパッケージの図面のレンズの形状に近づけるために、変形したもののを少し下にずらして封止部材と一部が重なるようにします。

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 次に、変形させた半円を選択して右クリックして、「最背面に移動」を選択します。すると、上図のようにレンズを作図できます。

(6)符号の作図

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 次に、上図のように各部品に符号をつけます。これにより、LEDパッケージを作成することができます。

(7)一括選択

 さらに、これらを一括でまとめて選択する方法を説明します。「F5」を入力し、「セル選択」⇒「オブジェクト(B)」を選択すると、全ての図が選択された状態になりますのでこの状態でコピーすればよいです。後は、ワードなど必要なデータに貼りつけて完了です。

エクセルでは、ブロック図、フロー図、化学式なども作成可能

 以上のように簡単な構造物の特許図面を作成するのにエクセルはおすすめです。構造物の図面以外にもブロック図、フロー図(フローチャート図)、化学式も簡単に作れます。おすすめです。

以上

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