「特許事務所ってどこもかしこもブラックなのか!?」 「未経験者が行ってはいけない特許事務所ってどこなの!?」 「ブラック特許事務所を避ける方法を教えてほしい!!」
こうした疑問に答えます。
今回の記事は、特許事務所へ転職しようと考えている方に参考になります。
なお、本記事は弁理士・特許技術者を目指す方を対象としたものであり、特許事務員の方はあまり参考にならないと思います。
このため、もし特許事務を目指す方は、特許事務沼ブログさんの記事が参考になると思います。
後半では、これまでお寄せいただいたご質問とその回答も公開した方が参考になると思いますので一部紹介しています。(もちろんプライバシーにかかわることは伏せています。)
Contents
特許事務所の全てがブラックではない
特許事務所というと、「激務」「パワハラがひどい」「クビになりやすい」といったネガティブイメージをもたれる方も多いかもしれません。
しかし、そのようなネガティブイメージにあてはまる特許事務所は一部であり、全てがブラックというわけではありません。
むしろ、特許事務所へ転職すればサラリーマンにない働き方を実現できます。
・実力主義で若いうちから高収入も可能
・出張・転勤・アフター5の飲みはほぼなし
・縦の関係はほぼなし
・個人プレー
・フレックス制度・在宅制度充実。満員電車乗らなくてOK
サラリーマンの働き方に向いていない方や若いうちから働きたい方にとってはよい環境です。
ただし、一部の特許事務所に入ると人生消耗して、何も得られることがなくそのままこの業界を去ってしまうことがあります。
実際に僕は20~30代で特許事務所へジョブチェンジをして業界を去っていった人たちを見てきました。
このような過ちを犯さないためには、やめといたほうがよい特許事務所を知るべきです。
やめとけと思う特許事務所ランキング
やめとけと思う特許事務所ランキングを3位から紹介します。(筆者の独断と偏見を含む。)
注意 第3位「年功序列制の特許事務所」(場合によってはあり) 第2位「薄利多売型の特許事務所」(やめとけ) 第1位「指導しないのに売上に厳しい特許事務所」(絶対やめとけ)
もしこのあたりに入ってしまうと「成長しない」「薄給」「人生消耗」の三重苦を味わうリスクがかなり高いです。第1位に至っては心身も崩壊してしまう恐れもあります。あげくに弁理士は〇〇だと感じ業界を去っていきます。やめておきましょう。
ではなぜこれらの特許事務所がランキング入りしているのか。順番に解説していきます。
第3位「年功序列制の特許事務所」
①成長しない
成長はほぼ見込めません。
年功序列制の特許事務所はぬるま湯体質にあり、指導のレベルが低い傾向にあります。
年功序列制のため、仕事のできる優秀な若手は出て行ってしまうのも原因です。
このような特許事務所では、まったりできるかもしれませんが、何年経っても成長しないのでやめといた方がよいです。
②若手は薄給
年功序列制のため、若手はどれだけ仕事を処理しても薄給です。
仕事の売上の取り分は年配にもっていかれます。
また、こういう特許事務所では、仕事のしない高齢の事務員の年収も高い傾向にあり、高齢の事務員の年収を稼ぐために働いているようなものです。
年収の点からもおすすめしません。
年功序列制は大手特許事務所に多い傾向です。
大手特許事務所はいいところもあり、悪いところもあり見極めが必要です。
大手特許事務所のメリットとデメリットは「大手特許事務所で働くメリットとデメリット【知らないと損をする裏話】」の記事をご参考に。
なお、あなたが無資格者の場合、年功序列制の(大手)特許事務所に入所するのはむしろありかもです。
というのは時間的拘束がそれほどなく、残業なしで資格勉強をして合格し、その後職歴に大手がつくので優良特許事務所へ転職できるという道があるからです。
ただし弁理士の資格をもっている場合にはやめといたほうがよいと思います。
第2位「薄利多売型の特許事務所」
薄利多売型の特許事務所もおすすめしません。
特許事務所の中には不当に安い価格を売り文句にクライアントを集めてくるところがあります。
そういうところでは、大量に仕事をもっていますが、単価が安すぎるのでどんだけ頑張っても稼げません。
また、そういうところは、所長や上司に実務能力が伴っていない場合が多く、指導がないか指導をしても変な指導を受けてしまうので成長もできません。
無駄に体力を消耗するだけなので、年功序列制よりも悪質かもしれません。
薄利多売型の特許事務所は中小規模の特許事務所に多い傾向です。
中小規模の特許事務所のメリットとデメリットは「中小・零細の特許事務所で働くメリットとデメリット【未経験者必見】」の記事をご参考に。
第1位「指導しないのに売上に厳しい特許事務所」
指導しないのに未経験にも売り上げに厳しい特許事務所は最悪です。
普通に病んでしまい人生終了です。
指導しない➤スキル上がらない➤売り上げたたない➤激怒➤・・・の無限ループです。
特許事務所では専門性の高い仕事をします。
だから大手企業でも特許事務所に頼むのです。
このため、未経験は専門性の高い仕事を熟練者から指導を受けなければやっていけません。
それなのに、「お金をもらって教えてもらおうとするやつはけしからん!」と言っている所長はいまだにいます。
そういうところはまともに交渉しても無駄で、どれだけ時間をかけても成長しません。
絶対に避けるべきです。
ブラック特許事務所を避ける方法
やめておけと思う特許事務所をまとめます。
注意ポイント ①年功序列制の特許事務所 ②薄利多売型の特許事務所 ③指導しないのに売上に厳しい特許事務所
特許事務所より企業知財部がいいなあと思った方はこちら。
メリットとデメリットを紹介しています。「特許事務所と企業知財部の違いは2つだけ【知らないと損をする裏事情】」
未経験の求職者は、特許事務所の内部情報を十分にサーチせずにこうしたブラック特許事務所へ入ってしまいます。
面接の空気では想定してなかったことが実際に入ってみたらちがうということはよくあります。
そして、人生消耗してこの業界を去っていきます。
このようなことがないように、特に未経験の求職者は、特許事務所の内部情報については、しっかりと調べておきましょう。
特許事務所の内部情報を調べておくことがブラック特許事務所を避ける方法です。
では、特許事務所の内部情報は具体的にどのようにして調べるべきか。
方法は3つあります。
①転職会議で調べる
②特許事務所で働いている知人に相談する
③転職エージェントに相談する
順番に説明します。
①転職会議で調べる
まず、転職会議で調べる方法があります。
大手特許事務所の中には数十件の口コミ情報がよせられていますし、中には参考になるものがあります。
ただし、情報が10年前とか古いことが多いです。
このため、生のリアルの情報を知りたければ②か③をおすすめします。
②特許事務所で働いている知人に相談する
次に特許事務所で働いている知人に相談することが考えられます。
特許事務所で働いている人は、自分が勤めている特許事務所以外の内部情報も詳しかったりします。
しかも生のリアルの情報を知ることができます。
③転職エージェントに相談する
もし知人がいなければ特許事務所の内部情報に詳しいリーガルジョブボード(無料)に相談することをすすめます。
理由は、今は少しでも転職したい気持ちがあっても、これから仕事でストレス・疲労が限界に達すると転職サイトに登録する気持ちが完全になくなってしまうからです。
気になる求人情報をストックしておけば、転職というセーフティネットがはれて、疲労などで限界に達する前に転職という手を打つことができます。
実際に、リーガルジョブボード(無料)を通じて、未経験者が、本ブログから、特許事務所への転職に成功し、入職後も待遇に満足しているそうです。
①45歳女性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
②28歳男性。業界未経験の方が大手特許事務所へ転職。
もし今あなたが転職する気がなくても今すぐ登録しておくことをおすすめします。
リーガルジョブボードの三島さんはTwitterでもツィートしているとおり信頼できますよ。
うちに登録して欲しいわけではないけど、転職しなくても転職エージェントやヘッドハンターと繋がっておくことはとても良いこと。
客観的に、自分自身の市場価値を知れるし、人材の流動性を知ることができるから。
うちでなくても良いけど、僕に連絡してもらえたら現状の市場感は気軽にお伝えしますよ。— 三島善太@弁理士・知財専門キャリアコンサルタント (@LJB_Mishima) August 18, 2020
特許事務所の転職に関する質問集
今回質問の中でも3つを紹介します。一部内容を変更。(更新予定。2021年1月9日~)
①Twitter(DMより)

特許技術者と弁理士の比率はどれくらいですか?資格をもし取れなくても実力があれば、特許技術者として冷遇されずにやっていけるでしょうか?

これは特許事務所で様々です。ただし、特許技術者として冷遇されることはほぼないです。(特許事務所は資格の有無よりも実務ができるかどうかの方が重要です。)

自分は今30代後半、現在専門職に従事しております。(ほぼ文系です) もし仮に今から自分のようなものが特許事務所にて転職して働くということは難しいでしょうか。
ブログ記事では「文系でも可」とはありましたが、文系で弁理士などになる方はパーセンテージが低く、やはり特許明細書の作成は難しいでしょうか(せめて最低でも額面400万は確保したい所なのですが…)

結論から言うと、可能です。但し、以下の点をご留意ください。
・転職時の年収は400万台であることが予想されます。
・経歴を見ますと「バイオ」も難しいと思いますので、「構造物」系の明細書を担当することになると思います。
転職自体はいけると思いますが、入ってから勉強が大変です。
・大手特許事務所は難しいかもしれません。(英語ができれば話は別ですが・・・)
転職のやり方としては、中小特許事務所で丁寧に指導をしてくれる事務所を探してそこから構造物案件の明細書を書けるようになり、大手にうつりステップアップするのがよいです。 ただし、スキル習得に2~3年かかると思いますのでそこは覚悟した方がよいです。

私はメーカーで勤務しているアラサーの女性です。特許
ブログでは弁理士資格を取ってからの転職が勧めら
そこで、下記のどの選択肢が転職時に有利か、やま様のご意見を教
①4月入社を目指して転職活動を続け、入社後に弁理士資格を取る
②弁理士試験の勉強をしつつ半年後に転職活動を再開する。…

結論から言うと②でいいかなと思います。
補足すると、今の職場で働きながら、弁理士試験の勉強を続けてまずは短答だけでも今年合格を目指してはいかがでしょうか。
短答に合格した場合に、転職活動をするのがよいかと思います。
無資格でも転職は可能と思いますが、年収と勉強時間のバランスを考えると上記がベストと思います。
なお、事情は把握していませんが、なるべく残業は減らしてでも資格勉強に専念することをおすすめします。
質問は受け付けていますが、忙しい場合遅くなるときがあります。
後、質問で多いのが「〇〇特許事務所への転職を考えているのはあそこってブラックですか?」みたいなのですが笑勘弁してくださいw
すみませんがすべての特定の特許事務所を把握していないので答えづらいです笑。
特定の特許事務所の評判については、リーガルジョブボード(無料)の三島さんにご相談してみてはいかがでしょうか。