とある士業の知的な日常

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【図解】弁理士が、「特許」を中学生でも分かるように解説します。

僕は、とある法律事務所で働く弁理士🙈

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今回は特許について中学生でも分かるように図解で解説していきたいと思います。特許は専門的な分野ですが、中学生でも分かるように書いています。このため、この記事を読めば、短時間で特許がどういうものかお分かりに頂けれると思います。また図解なので頭にイメージとして定着しやすいと思います。

 

目次です

図解特許

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 以下、特許について説明します。この記事では、まず「特許」について説明し、その後で、「特許をとることのメリット」を説明していきます。 

特許とは

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 特許とは、発明者のみが発明を独占して実施できる権利をいいます。この権利によって、第3者はこの発明を実施することができません。ここでいう「実施」とは、発明を生産したり、使用したり、譲り渡したり、輸出したり、輸入したりする行為をいいます。

 例えば、上図のように発明者が新規な化合物Xを発明して、この発明の特許を取ったとします。この場合、上図のような実施の行為を第3者がすることはできません。すなわち、化合物Xを合成(生産)したり、化合物Xを材料(この例ではボンドの材料)として使用したり、化合物Xを販売(譲り渡す行為)したり、化合物Xを輸入したり、輸出したりすることはできません。

発明のカテゴリー

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 なお、ここでの発明は化合物、すなわち物を例示していますが、製造方法や使用方法もまた発明に含まれます。すなわち発明には大きく3つのカテゴリーがあります。上図の例で言うと、物の発明は、化合物Xに相当し、製造方法の発明は、化合物Xの製造方法に相当し、使用方法の発明は、化合物Xの接着剤への使用に相当します。

物の権利範囲と製造方法の権利範囲

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 製造方法の発明で特許をとると、その特許の権利範囲は、その製造方法と、その製造方法により製造した物にまで及びます。通常、物の製造方法の権利範囲は、物の権利範囲よりも狭いです。これを上図を用いて説明します。

 例えば、新規化合物Xの製造方法(合成方法A)について特許を取得したとします。この場合、この特許の権利範囲が及ぶのはこの合成方法Aにより製造された化合物Xのみです。一方、その後、別のルートにて合成方法Bにより同じ化合物Xが合成できたとします。この場合、この製造方法の特許は、合成方法Bにより合成できた化合物Xについて権利範囲に含まれません。

 一方、化合物Xについて特許をした場合は、いかなる方法によって得られた化合物Xについて権利範囲に含まれます。上図のように、合成方法Aであっても合成方法Bであってもこれらの化合物Xは、権利範囲に含まれます。このため、広く権利範囲をカバーするために、できる限り、方法の発明でなく、物の発明で特許をとることが好まれます。

 発明であるためには条件がある

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 ここで注意すべき点があります。それは、発明であるためにはある条件を満たさないといけないことです。例えば、テトリスという落ちゲーがあります。テトリスは、上から落ちてくる特定形状のブロックを横一列に隙間なく埋めて消していくパズルゲームです。このゲームルールは革新的であり、いかにも発明のように思われますが、テトリスは発明に該当しません。それは自然法則を利用していないためです。

 発明であるためには以下の条件が必要です。

・「自然法則を利用したものであること」

・「技術的思想であること」

・「創作物であること」

・「高度なものであること」

「自然法則を利用したものであること」

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 発明は、自然法則を利用したものであることが重要です。「自然法則」とは、自然界の現象を支配している法則であり、中学や高校の理科の時間で学んだものであり、例えば、てこの原理などがあてはまります。このような自然法則を利用したものが発明に該当します。このため、上記の通り、ゲームのルールは自然法則というよりも人工的に取り決めたルールですので発明にあてはまりません。

 但し、ここで注意すべき点があります。プログラムは「発明」として認められているという点です。もともと「プログラム」は発明として認められていなかったのですが、近年のIT技術の革新により「プログラム」も特許の保護対象とすべきということになり、「プログラム」も発明に含まれるようになりました。また、近年では、ケースバイケースでプログラムを利用したビジネスモデルについても発明と認められています。

「技術的思想であること」

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 次に「技術的思想であること」が重要です。技術的思想とは、簡単に言うと、以下の点を満たすものをいいます。

・「ある課題を解決できる具体的な手段であること」

・「誰がやっても同じ結果が得られること」

 例えば、上記の化合物Xを例にとります。この化合物Xは接着剤の材料に用いると接着性を向上できます。そうすると、化合物X(厳密に言うと化合物Xの使用)は、接着性を向上するという課題を解決するための具体的な手段と言えます。また、この化合物Xは、その合成方法が分かれば、誰がやっても(もちろん合成の上手下手はありますが…)同じようにこの化合物を得ることができます。このため、化合物Xは、技術的思想といえますので発明に該当します。

 一方、上図のように芸術作品(例えば絵画)は、個人の技量によるものであり、誰がやっても同じ作品が得られるものではありませんので技術的思想といえません。これは特許で保護されませんが、著作権により保護されます。

「創作物であること」

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 創作とは自ら作りだしたものです。このため、天然物などを発見してもそれは発明ではありません。「発見」と「発明」は異なります。但し、天然物を人工的に改良したものは発明に含まれます。例えば、微生物に特定の機能を持たせて改良したものは発明に該当します。

「高度なものであること」

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 発明は、「高度なもの」であることが必要ですが、では具体的に高度なものはどういうものか定められていません。これは「発明」と「考案」とを区別するために用いられたものです。このため、「高度なもの」であると条件が定められていますが、高度なものが具体的に何か定められているわけでないので気にする必要がありません。ちなみに考案とは発明よりもレベルの低い創作物というイメージです。

特許をとることのメリット

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 特許を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。メリットとしては大きく3つあると思います。まず1つ目は「独占的に実施できる」という点であり、2つ目は「ライセンス料を得ることができる」という点であり、3つ目は「信頼度が大きくなる」という点です。そして、特許権は、出願してから20年の間認められます。

「独占的に実施できる」

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 特許の1番のメリットはこの点にあります。特許等の知的財産は、競合他社の事業を牽制できる唯一の手段であり、特許はその中でも強力な手段です。特許に係る製品を競合他社は実施することができませんので、例えば無許可で、製造したり、販売したりすることができません。もし特許に係る製品を無許可で競合他社が製造販売していたら、その製造を差し止めすることができますし、場合によっては損害賠償を請求できます。これにより、特許に係る事業のシェアを拡大してくことができますのでビジネスを有利に進めることができます。

「ライセンス料を獲得できる」

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 また、特許に係る発明を製造したり、販売したりしていなくても特許を取得していればそれでお金を稼ぐことができます。その特許を製造販売したい第3者がいる場合に、ライセンス契約すればよいのです。第3者は、ライセンス料を支払って、その特許を実施することができます。あるいは、その特許の権利を有料で譲渡することもできます。このように、特許権者は、発明を実施しなくてもライセンス料を貰ったり、有料譲渡することにより、お金を稼ぐことができます。

「信頼度が大きくなる」

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 特許は、これまでの技術を覆す、産業上有用な発明に対して与えられるものです。このため、特許取得であることを明記しておけば、それが国から産業上有用であると認められていることを示すことができます。例えば、似たような性能をもっている2つの製品において、1つの製品が特許製品であり、もう1つの製品が特許を取得していない製品であれば消費者のほとんどは特許製品の方を選びます。このように特許を取得すると信頼度が大きくなるというメリットもあります。

特許を取得するまでにお金がかかる

 一方、特許を取得するまでにお金がかかります。まず、特許事務所を使った場合、手数料を支払う場合があります。出願料金が大体20~30万であり、さらに審査に対する対応に係る料金が10~20万くらいかかります。

 また特許庁に支払うお金としては、まず出願時に印紙代が1万4千円かかり、さらに審査料金が13万8千円以上かかります。更に特許を取得すると特許料も毎年支払う必要があります。この特許料は、1~3年の間(2100円以上)、4~6年の間(6400円以上)、7~9年の間(19300円以上)、10年以降(55400円以上)で値段が異なります。但し、個人や中小企業など出願人が特別な条件を満たしている場合は、減免制度があります。

まとめ

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 いかがでしたか。特許は日常でよく出てきますので知っておいた方がよいと思います。できる限り分かり易く説明しましたのでご参考になればと思います。

 もし特許についてご不明な点やご相談などありましたら僕の個人メールアドレス(yamatenisanアットマークgmail.com)やツィッターでお声をかけてもらえればと思います。

以上