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【転職】特許業界の職種(弁理士、特許技術者、特許事務員、特許翻訳者など)を紹介します。

僕は、とある法律事務所で働く弁理士🙈

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僕は、これまでに特許業界において、特許事務所において、特許技術者、弁理士を経験し、とある企業において、知的財産部として働いてきました。

そこで、今回は、この経験をもとに、特許業界の様々な職種を紹介したいと思います。

 

・この記事を読むメリット

特許業界の様々な職種を理解できる。

 

目次です。

 特許業界の職種

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 それでは特許業界の職種を紹介します。上図の通り、特許業界には、企業で働く知的財産部員、調査機関で働く特許調査員、翻訳会社で働く特許翻訳者、特許事務所で働く弁理士特許技術者特許事務員がいます。他に特許庁で働く特許審査官や法律事務所で働く弁護士も特許業界の職種に含まれますが、これらの職種は転職が難しいと思いますので今回は詳しく紹介しないことにします。

特許業務の全体像

 ここで、上記の各職種の役割が明確になるように、特許業務の全体像と、各職種の役割について下記図を用いてお話しします。

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(発明発掘の段階)

 まず、発明発掘の段階では、知的財産部員(この中でもリエゾンと呼ばれる職種)は、発明者から生まれたアイデアを特許出願できないか検討します。この段階では、まずは発明者と知的財産部員が相談します。この段階で、そのアイデアがすでに公知の技術であるか否か検討するために、調査機関に先行技術文献調査を依頼します。そして、特許調査員は、依頼されたアイデアに基づいて、これまでに公開された公知文献からこのアイデアが公知であるか否か検討し、知的財産部員へ報告します。この報告をもとに知的財産部員は特許出願できそうであれば、特許出願を特許事務所に依頼します。

(出願の段階)

 出願の段階では、発明者、知的財産部員、特許技術者、弁理士が、出願の方針を検討するために打合せます。主な方針の内容としては、特許の権利範囲、ノウハウとして秘匿する内容についてなどです。この方針に基づいて、特許技術者、弁理士は、特許明細書を作成します。作成した特許明細書は、知的財産部員を介して、発明者によりチェックされます。そして、必要に応じて修正指示がなされ、特許技術者、弁理士は適宜修正を施し、特許明細書を完成させ、特許庁へ出願します。出願後の管理は、特許事務員が行います。

(中間処理の段階)

 特許出願後、特許審査官は、その出願に係る発明に特許を与えてもよいか否か審査をします。この審査において、審査条件(特許要件)を満たすることができれば特許が与えられますが、特許要件を満たさなければ、その理由を記載した拒絶理由通知書を出願人である企業に通知します。この拒絶理由通知書に対し、特許技術者、弁理士が適切な応答案を作成し、特許権利化を目指します。作成した応答案を、知的財産部員、発明者がチェックして問題がなければ、特許庁に応答します。この応答案により、特許審査官が特許要件を満たすと認めれば特許が付与されます。

(権利取得の段階)

 特許権利を取得すると、特許庁に対して権利を維持するための年金を支払います。この年金の管理は、特許事務員が行います。

(外国出願の段階)

 外国においてもビジネスを展開する場合、国内だけでなく、外国にも特許出願します。このとき、国内で出願した特許明細書を英訳して出願しますので、その英訳を特許翻訳者が行います。そして、特許翻訳者が英訳した特許明細書(英文特許明細書)を特許技術者、弁理士がチェックし、その後、知的財産部員、発明者がチェックして現地代理人を通じて外国出願をします。そして、国内同様、特許審査官が特許要件を満たしているか判断して、満たしていないようであれば拒絶理由通知書を通知します。これに対し、特許技術者、弁理士が適切な応答案を検討し、現地代理人を通じて現地の特許庁へ応答します。そして、特許権利を取得すると、国内同様、権利を維持するための年金を支払い、特許事務員が年金の管理を行います。

知的財産部員

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 知的財産部員は、主にリエゾンと呼ばれる方であり、仕事の内容は様々です。例えば、発明の段階において、発明者と相談して特許出願できそうなものを検討します。また、特許出願から、権利取得に至るまでに、特許技術者、弁理士が作成した書類を発明者と協同してチェックします。

 また、自社の特許戦略にかかわる仕事を主に行います。例えば、競合他社の特許を調査したり、調査した他者特許に、自社で実施している製品(イ号製品)が抵触しているか否かを検討したり、他社製品が、自社特許に抵触しているか否かを検討します。前者の場合は、弁理士、必要に応じて弁護士と協同して他者特許を潰したり、後者の場合は、弁護士と協同して製品の差し止めをしたり、場合によっては損害賠償を請求したりします。さらに、自社の事業展開などを踏まえて、国内出願したものを外国出願するべきか検討したりします。

 知的財産部員は、自社の技術力を理解し、また特許法についても理解をする必要があります。一方、知的財産部員が特許明細書などの特許出願や特許権利化に必要な書類を作成することはありません。また、知的財産部員は、会議や出張が多く、これに時間を奪われることが多いです。このため、知的財産部員は、特定のスキルを磨きたいとうよりも幅広くスキルを身につけたい方に向いていると思います。

 なお、知的財産部員は弁理士の資格はほぼ不要です。この資格が活かされることはほとんどないです。

特許調査員

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 特許調査員は、サーチャーとも呼ばれ、主に、特許出願しようと思っている内容が、すでに出願されていないかを調査します。主に調査機関で働くことが多いですが、大手特許事務所でも働いていることもありますし、企業にも大手の企業であれば、知的財産部門に、特許調査部員が設けられていることがあります。

 特許調査員は、弁理士という資格はほぼ不要ですが、外国の案件も調査することが多いため、英語ができている方が向いています。

特許翻訳者

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 特許翻訳者は、特許出願から権利取得までの間の書類(特許明細書)の翻訳(英訳、和訳)を担当します。特許明細書は独特の表現で書かれているため、その表現になれる必要があります。特許翻訳者は、翻訳会社で働いていることが多いですが、特許事務所でも働いていることが多いです。また、フリーランスの方も多く、その場合は翻訳会社から仕事をもらうことが多いです。

特許技術者と弁理士

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 特許技術者と弁理士は、出願から権利取得に向けた特許業務を携わります。実質的に、特許技術者と弁理士の業務内容はほとんど同じです。

 しかし、出願人である企業(クライアント)に代わって、代理権が認められるのは弁理士です。このため、特許技術者が単独で出願から権利取得に向けて特許業務に携わることができません。特許技術者は、弁理士の監視の下で特許業務に携わります。

 また、クライアントの競合他社の特許を潰したり、競合他社との係争業務に弁護士と協同して携わることもありますが、このような業務はほぼまれであり、ほとんどの業務が出願から権利取得に向けた特許業務であり、出願業務である特許明細書の作成スキルが重要です。

 この特許明細書の作成スキルにおいて、特許法を理解していることと、技術を理解する能力と、論理的な文章を作成する能力が重要です。技術を理解する能力が重要なので理系向けと思われるかもしれませんが、分野(例えば、機械系、構造系)によっては文系の方でも対応可能です。

この職種に向いている方

 この職種に向いている方は、以下のような方であると思います。

・内向的な方

・論文などの文章を書くのが好きな方

・どんどん仕事をこなしてお金を稼ぎたい方

(内向的な方)

 この職種は、ほぼ人と関わる(接触する)ことはありません。あるとすれば、出願の打合せぐらいです。そして、しきり板で囲まれたスペースで黙々と特許明細書などの文書を作成します。また、同僚の関りもほぼなく、飲み会などもほとんど行われないので、仕事をして、仕事を終えると帰るという感じです。また、特許事務所によっては、在宅もOKです。このため、人付き合いが苦手な人には向いている職種であると思います。これについては過去記事で詳しく紹介しています。

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(文章を書くのが好きな方)

 結構な量の文章を作成しますので論文などの文章を書くのが得意な方は向いていると思います。

(どんどん仕事をこなしてお金を稼ぎたい方)

 この職種は、売上に応じて給料が支払われることが多いので、どんどん仕事をこなしてお金を稼ぎたい方に向いています。これについて、過去記事で詳しく紹介しています。

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特許事務員

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 特許事務員は、特許技術者と弁理士が行う特許業務のアシスタント的な役割を担うことが多いです。主な仕事は以下の通りです。

・電話対応

・クライアントへの請求書の作成

・クライアントへの報告用レターの作成

(例えば、特許庁からの通知書(拒絶理由通知書など)のクライアントへの送付など)

・現地代理人への英文レターの作成

(例えば、現地代理人への英文指示書の作成など)

・特許庁への手続

(特許技術者又は弁理士が作成した特許明細書の誤字チェック、特許明細書のオンライン手続き)

・期限管理

 特許事務員は、国内特許事務員と外国特許事務員に分かれていることが多く、国内特許事務員は特に英語ができる必要はありません。しかし、いずれにおいても特許法のうち手続、年金などに関する条文については理解する必要があります。外国特許事務員の場合は、外国の特許法についても理解する必要があります。

 これらの仕事のうち、最も重要なものは期限管理です。特許技術者と弁理士は期限管理まで担当していることが少ないです。しかし、特許出願から権利取得に至るまで、様々な期限があります。例えば、特許出願に係る発明を審査官に審査してもらう期間は特許出願の日から3年以内です。特許出願の案件が1件であれば、管理は容易ですが、通常何百件もの案件を管理する必要があります。これを特許事務員が管理します。

 このため、特許事務員には、管理能力が求められます。このため、几帳面な方がこの職種に向いていると思います。

まとめ

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 いかがでしたか。特許業界には様々な職種があります。特許業界に興味をもたれている方のご参考になればと思います。

以上