とある士業の知的な日常

弁理士ブロガーです。勉強法、文章術、英語、特許、美容、資格、読書を主に紹介するブログです。何かあればyamatenisanアットマークgmail.comまでお願いします。

特許業界では、仕事ができる若手が年功序列制の大手特許事務所に行くと悲惨な理由。

僕は、とある法律事務所で働く弁理士🙈

f:id:mayaaaaasama:20180929194523j:plain

僕は、いくつかの特許事務所を渡り歩いてきました。最初はスパルタの零細特許事務所でスキルが身に付きましたがひどい事務所でした…

この話はこちらの記事で…

www.mayaaaaasama.com

 

しかし、スキルが身に付いた分まだましでした。もっとひどい特許事務所があるのです。それは年功序列制の大手特許事務所です。但し、これは仕事ができる若手が行く場合に限ります。

そこで、今回は、特許業界では、仕事ができる若手が年功序列制の大手特許事務所に行くと悲惨な理由についてお話ししたいと思います。

目次です。

仕事ができる若手が年功序列制の特許事務所に行くと悲惨な理由

f:id:mayaaaaasama:20190404191428j:plain

 仕事ができる若手が年功序列制の特許事務所に行くと悲惨な理由は、以下の通りです。

(1)できる人に仕事が集中する

(2)売り上げを稼いでも年収が上がらない

(3)スキルが上がらない

 以下、順番に詳しく説明します。

 なお、特許業界の仕事ってどんな仕事?と思われたり、特許事務所ではどんな仕事をするの?と思われた方もいると思います。そのような方は過去記事で紹介していますのでよろしければご覧ください。

www.mayaaaaasama.com

 

(1)できる人に仕事が集中する

f:id:mayaaaaasama:20190404200312j:plain

 特許業界の主な仕事は、特許明細書を作成することです。この特許明細書を作成するために、発明の技術的思想と法律(特許法)を理解した上で、論理的な文章を作成することが要求されます。このスキルは、高度な専門性を要求されるスキルです。そして、このスキルを身に着けている人は、この業界でそれほど多くありません。このため、特許業界では、仕事ができる人と、仕事ができない人の差がとても激しい業界です。

 そして、年功序列制の大手特許事務所では、仕事ができる人と、仕事ができない人が共存しています。大手特許事務所なので、クライアントからの仕事はたくさんあります。しかし、大手特許事務所のパートナーは、クライアントからの仕事を、仕事ができない人になかなかまわしにくいのです。なぜかというと、仕事ができない人が書いた特許明細書にクライアントが不評を買うとそれは仕事をまわしたパートナーの責任にもなるためです。その一方で、パートナーも特許明細書という煩雑な仕事をしたくありません。そうすると、どうしても仕事は、仕事ができて体力のある若手に回されてしまうのです。

 そうすると、仕事ができる若手は、どんどん仕事を処理しても、またパートナーから仕事がまわってきます。このため、1日の必要最小限の仕事をしても定時に帰ることができず、長時間残業したり、休日も仕事をしなければなりません。プライベートの時間が、パートナーの都合のために仕事に費やされてしまいます。

 ここで、仕事のできる若手の友人がこのような不公平な仕事のまわし方に対し、反論したところとんでもない返答がきたそうです。これについて僕は以下のようにツィッターで呟いています。この所長の言い分はあたかも仕事ができるやつが悪いと言っているようであり思わず吹き出しましたwこの所長はどういう脳内回路をしているのでしょうか…

弁理士資格を取得できない

f:id:mayaaaaasama:20190404200527j:plain

 この業界では、若手というのは大体34歳以下です。若手の幅が広いと思われますが、この業界は、20代がほとんどいない業界です。そして、34歳以下の若手のほとんどは、弁理士資格を取得していません。弁理士資格を取得していない人は、特許技術者と呼ばれています。特許技術者は、仕事と両立させて弁理士の資格勉強をしています。

 しかし、仕事のできる若手は、パートナーに仕事をまわされ続けて、なかなか勉強する時間を確保できず、毎年のように資格に合格することができません。特に、この業界では、3月が繁忙期です。一方、資格の試験がはじまるのが5月下旬なので3月というのはとても勉強するために重要な時期です。その時期を仕事に追われてしまうのです。ある意味、彼らは、自分の将来をパートナーの都合のために奪われているといってもいいと思います。

(2)売り上げを稼いでも年収が上がらない

f:id:mayaaaaasama:20190404201900j:plain

 特許事務所では、上述のように仕事ができる人と仕事ができない人との差が激しいため、所長又はパートナーは仕事ができる人に、仕事をまわすことが多いです。そして、通常の特許事務所では、仕事ができる人を優遇することが多いです。特許事務所の所長は、仕事のできる人にどんどん仕事を回して、働いてもらった分仕事のできる人の給料を上げます。この業界では、年収は、売上に応じて決められることが多いです。一般に言われているのは、年収は、1年間の売上の少なくとも1/3です。例えば、1年間に3000万円を売り上げた場合、年収は1000万円以上になります。

 これに対して、年功序列制の大手特許事務所は、どれだけ売り上げを稼いでも年収が上がりません。先ほど紹介した仕事のできる若手の友人は、なんと2カ月で1000万円を稼いだのですが、彼の冬のボーナスは、その特許事務所の若手の特許事務員の冬のボーナスとほとんど変わらなかったそうです。 ちなみに、友人は、冬のボーナスをもらう前に、珍しくパートナーからランチを奢られ、不思議に思ったそうです。そして、これだけまでの売り上げから期待した冬のボーナスが想像以上に低く、その前日になぜパートナーが自分にランチを奢ったのか合点したとのことです…なんと姑息なパートナーでしょうか…

 年功序列制の大手特許事務所は、通常の特許事務所と違い、年収は、年間の売上でなく、勤務年数で決定されます。このため、どれだけ売り上げを稼いでいなくても、何十年もいれば、売上を稼いでいる若手よりもぐんと高い年収をもらえます。

年功序列制では、若手の年収を上げるのは難しい

 年功序列制の大手特許事務所が、仕事のできる若手の年収を上げることは難しいです。なぜかというと、そのような大手特許事務所では、年齢層の高い所員が辞めませんし、特許事務所は、年齢層の高い所員に高い年収を提供しなくてはいけないからです。若手に高い給料を上げることはできません。しかし、もはや年功序列制は今後破綻していくと思いますので、若手である彼らが、ずっとその特許事務所にいれば高い年収を貰えることは怪しいです。そうすると、仕事のできる若手は、大手特許事務所にいる高齢の所員に高い年収を払うために働かされているというよくわからない構造になっています。とても悲惨な構造であると思います。

(3)スキルが上がらない

f:id:mayaaaaasama:20190404204159j:plain

 大手の特許事務所には、仕事がたくさんありますが、熟練者が、丁寧に指導をしてくれるところは少ないです。そして、年功序列制の大手特許事務所もまた、丁寧に指導をしてくれるところは少ないです。また、年功序列制の大手特許事務所は、上述のように、勤務年数が多ければ、仕事の売り上げに関係なく年収をたくさんもらえる形態であり、仕事ができる人がいるような事務所ではなく、仕事のできない人の方が多いです。そのような人から指導を受けませんし、仮に指導を受けても変な方向にいってしまい、スキルが上がらないことが多いです。そして、仕事ができる若手は、もっとスキルを向上しようと向上心をもっても、上に立つ人がこのような人ばかりなのでなかなか仕事のスキルが上がりません。

 また、回された仕事は、すでに前の人が担当したものの引継ぎが多いです。そして、前の人が担当した特許明細書は、質が低いことが多く、その質に合わせなければならに事が多いです。

 さらに、仕事をどんどんまわされるのでスピードが求められ、スキルをじっくり上げるという余裕もありません。

 このように、このような特許事務所にいてもスキルの向上はほとんどありません。

では仕事ができる若手はこのような特許事務所でどうすべきか

f:id:mayaaaaasama:20190404203721j:plain

 それでは、仕事ができる若手はこのような特許事務所でどうしたらいいでしょうか。2つ考えられます。

・転職する

・仕事を断り、定時退社する。

 まず考えることは「転職」です。上述の通り、この業界で、「仕事ができる人」は引く手あまたです。さっさと転職して待遇のいい特許事務所に映るのが無難です。あるいは、仕事を断り、定時退社することも考えられます。資格の勉強や、副業などなんでも考えられます。いずれかの選択をとればいいと思います。このような特許事務所で仕事をしても損をします。

 特許事務所選びは転職エージェントの利用が重要です。

 上記のように、仕事ができても特許事務所のスタイルによっては損をします。このような場合にならないように、特許事務所選びは転職エージェントの利用が重要です。転職エージェントは、特許事務所のそれぞれの情報に精通しており、しかも無料で相談できるのでおすすめです。転職エージェントについては下記の記事を作成していますのでもしよければご覧ください。

www.mayaaaaasama.com

以上