弁理士試験に勉強時間は3,000時間が必要といわれるけど本当なの!? そんなに勉強時間を確保できないな。1~2年で合格したい!
こうした疑問に答えます。

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- 弁理士試験短答一発合格>>「弁理士試験の短答試験攻略方法を1発合格した弁理士が解説します」
- 弁理士試験論文必須一発合格>>「弁理士試験の論文の攻略法を論文必須に1発合格した弁理士が教えます」
- 弁理士試験口述試験一発合格>>「弁理士の口述対策を一発合格者が解説【1番怖いのは〇〇すること】」
- 特許事務所>法律事務所>現在特許事務所を開設。
- 試験勉強法を発信。資格スクエアのYoutubeチャンネルにて勉強法を発信。
- 弁理士の勉強法は「弁理士試験の勉強時間を1,500時間で合格するための勉強法」の記事で解説。
本記事では、過去に短答試験・論文必須・口述試験に1発合格した弁理士が、弁理士に必要と言われている3,000時間の勉強時間の半分以下で勉強するためのコツをお話しします。
ただし、この1,500時間の勉強時間は、短答試験と論文式記述試験(必須)を想定しています。
筆者の場合、院卒のため論文式記述試験(選択)は免除でした。
論文選択を受験する方であっても、論文式記述試験(選択)と口述試験の対策を含めても1,800~2,000時間くらいの勉強量でOKと思います。
論文式記述試験(選択)については、「弁理士試験の選択科目は何を選ぶべきか!?|弁理士試験合格者が答えます」の記事をご参考に。
本内容は以下の構成としています。
1.弁理士試験に必要な勉強時間は1,500時間あればよい理由
2.弁理士試験の開始時期と勉強時間のスケジュール
3.弁理士試験に必要なテキスト・参考書
4.弁理士試験を勉強時間1,500時間で合格するための勉強法
5.弁理士試験の各科目の攻略勉強法
6.弁理士試験の短答・論文必須・論文選択・口述試験の勉強法
7.弁理士試験の勉強時間と勉強法のまとめ
弁理士試験の日程と具体的な科目の情報については「弁理士試験の日程から試験科目までこれ1つでわかりやすく解説」をご参考ください。
Contents
1.弁理士試験に必要な勉強時間は1,500時間あればよい理由
1,500時間以下でも合格可能な理由は以下のとおりです。
①弁理士試験に効率的な勉強法は確立されているため
②勉強しやすい環境が確立されているため
③通信講座を利用すれば最速で合格できるため
④口述試験が大幅に易化したことで勉強時間が短縮されるため
①について、これは弁理士試験に限らず、他の資格試験でもあてはまると思うのですが、資格に合格するための定石というものは確立されているものと思います。
正直、筆者の勉強法は筆者が独自で生み出したオリジナルの勉強法というより、たまたま最短合格法の定石にあてはまっていただけのような気がします。
上述の「資格スクエア」の動画においても、勉強法を解説していますが、資格スクエアの関係者の方がおすすめする勉強法はだいたい一致しています。
すなわち、短期で合格するための勉強法と言うのは確立されており、確立された勉強法に沿って努力すれば通常3,000時間と言われる弁理士試験の勉強時間を短縮できるものと思います。
②と③について、昔は予備校に足を運び、予備校の講師を聴講し、復習することが通常でした。
しかし、通学に時間はかかりますし、聴講は主体的に勉強しにくくどうしても受け身になり(眠くなったりもします…)、非効率でした。
これに対し、今では通信講座を利用すれば、パソコンやスマホで好きな時間に好きなタイミングで動画で授業を聞くことができます。
通学時間はなく、何度も動画で授業を聞けますし主体的に勉強をすることができます。これにより、効率よく勉強でき、勉強時間を短縮可能です。
補足すると弁理士勉強時間3,000時間説は一昔前から言われており、勉強の環境が大きく変わった今では3,000時間説の信憑性は微妙な感じがします。
④んついて、一発本番で運の要素が大きい「口述試験」は、2013年以降難易度は大幅に易化しました。
油断は禁物ですが、口述試験にかける勉強量は少なくても合格できる、という点も1,500時間以下で合格できる理由にあげられます。
以上より、今は弁理士試験は努力の方向さえ正しければ、それほど難しくなく合格できる試験といえます。
では、1,500時間の勉強時間ですが、具体的にどのように勉強を開始すべきか。次に見てみます。
2.弁理士試験の勉強開始時期と勉強スケジュール
①9月上旬~12月中旬 (約3か月) |
②12月下旬以降~5月下旬 (約5か月) |
③6月上旬~7月上旬 (約1か月) |
|
---|---|---|---|
平日の勉強時間 | 約2時間/日 (合計約135時間) |
約7.5時間/日 (合計約843時間) |
平均6.5時間/日 (合計約146時間) |
土日の勉強時間 | 約6時間/日 (合計約121時間) |
平均7.5時間/日 (合計337時間) |
平均6.5時間/日 (合計約58時間) |
合計勉強時間 | 約256時間 | 約1,180時間 | 約204時間 |
①働きながら勉強(しかもブラック零細企業でした)
②ブラック零細企業を退所~短答前
③短答後~論文必須前
筆者が受験生だったときの勉強開始時期と勉強スケジュールをのせておきます。(すみません。9年くらい前なので勉強時間は大体の感じです。)
合計すると1,634時間であり、1,500時間を超えてました笑 すみません、1月はそんなに勉強していなかった記憶があるのでもっと低くだいたい1500時間と言ってもいいレベルだったと思います。あとは毎日ずっと7.5時間勉強を続けるのはありえないので実際はもっと低いと思います。
この筆者の勉強スケジュールで何が言いたいかというと、1500時間の勉強量であっても短答と論文必須について合格は十分に可能ということです。(+口述でも1500時間あればいけると思います。)
筆者は受験年の前年の9月から本格的に勉強を始めましたが、短答と論文必須に1発合格しました。
つづいて1,500時間ほどの勉強量では、平日と休日でどれくらい勉強すべきかをまとめておきます。
1年合格コース | 2年合格コース | |
---|---|---|
平日の勉強時間 | 3時間 (3時間×5日×4.5週×12ヶ月=810時間) |
2時間 (2時間×5日×4.5週×24か月=1,080時間) |
祝日の勉強時間 | 7時間 (7時間×2日×4.5週×12か月=756時間) |
3時間 (3時間×2日×4.5週×24か月=648時間) |
2年間勉強を続けるというと継続が長くなり、挫折しやすいです。
1年でびしっと集中して合格を目指すことがおすすめです。
3.弁理士試験に必要なテキスト・参考書
必要なものとあった方がよいものを紹介します。
1.四法対照法令集
条文集です。四法対照法令集であれば、何でもかまいません。
青本・通信講座・過去問で身につけた知識を書き込んでいきます。
そして、復習をする際にはこの1冊だけを見直します。
持ち運びに便利なので電車時間や待ち時間などの隙間時間にも使えます。
2.青本(工業所有権法逐次解説)
特許・実案・意匠・商標の条文の趣旨を解説したものです。
青本とも呼ばれています。高価な本ですが、テキスト自体は、特許庁のサイトから入手できます。
3.知的財産法判例教室
論文対策に判例を知っておくことが重要です。
また、その判例の趣旨をコンパクトに論述することも要求されます。
本書では、判例の趣旨がコンパクトにまとめられているのでこれを写経すればOKです。
また、判例はマニアックなところを知っておくと時間が無駄であり、本書で登場する判例だけでOKです。
ちなみに筆者が受験生だったときは、特許の論文試験はこの判例教室で登場したものばかりでした。
4.短答式過去問集
最低過去20年分あたりはやっておきましょう。LECあたりが出版している過去問集がおすすめです。
5.通信講座
通信講座はこちらの記事で紹介していますのであなたに合ったものを選びましょう。
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【2021年】弁理士試験の予備校・通信講座を合格者が比較【格安あり】
続きを見る
筆者としてはこれらの中でも資格スクエアの弁理士講座をおすすめします。
理由は、大手予備校と比べると比較的安めであること(¥265,000)も理由にありますが、青本の解説動画がついていることが大きな理由です。
青本は勉強すべきですが、膨大な量でありテキスト媒体で読んでいくことは負担が大きいです。
これに対し、解説動画であれば、まずは動画で聞き流せるので全体を把握しやすくなり、2回目以降はあなたの好きなタイミングで丁寧に聴けるというメリットがあります。
基本的にこの5つは必ずそろえることをおすすめします。
あった方がよいものは以下のとおりです。
- 法改正の産業財産権法の解説➤法改正の背景が理解できる。青本に記載なし。
- パリ講和➤条約の勉強におすすめ。
- 不正競争防止法(茶園成樹著)➤不正競争防止法は基本書を一つ用意してもよい。過去問を解いて確認する程度でOK。
- 著作権法入門➤著作権法は範囲が広すぎて丁寧にやると時間がもったいないです。過去問を解いて確認する程度でOK。
余力があればそろえておきましょう。
一方で、特許法概説とか名著といわれる本は買わなくてもOKです。意匠なら高田のなんとかなど。
買って勉強するとマニアックな方向に走って危険です。(ただし特許法概説は実務に役立ちます。)
4.弁理士試験を勉強時間1,500時間で合格するための勉強法
筆者が実際に行った勉強法(俯瞰仰視反復法)を紹介します。
①俯瞰②仰視③反復の3つのステップを行います。順番に解説します。
①「俯瞰(ふかん)」
基礎講座(入門講座)を科目全部(特許実用新案、意匠、商標、・・・)流し見する。
②「仰視」
各科目の一単元ごとに、動画を見直して知識をインプットする
その都度過去問を解いてアウトプットする
※このインプットとアウトプットを一単元ごとにやって全てを終わらせる(セットする)
※この過程で、動画で学んだことや、過去問を解いたことの要約を四法対照に書き込んでいく。
③「反復」
セットを繰り返す。
※繰り返すときにわかったところは飛ばし、わからないところをしらみつぶしにつぶしていく。そして試験本番にのぞむ。
もし理解が難しければこちらの動画をご覧ください。
筆者は、通信講座としてLECを用いたやり方で短答・論文必須とも1発合格しました。
筆者のときは大手予備校しか選択肢がなかったのですが(さらにDVDで視聴しかなかった)、今では格安でスマホやPCでオンライン動画ができる資格スクエアの弁理士講座がおすすめです。参考:「【2020年】資格スクエアの弁理士講座を1発合格した弁理士が受けてみた感想」
仰視のところでは、わからないところがあってもまた見直すのでどんどん先に進めましょう。
経験的に言えることですが、すすんでいくとわからないところがあってもわかってくることが多いです。
そして、試験当日までわからないところをしらみつぶしでつぶしていきます。
こうすれば、要領よく広い範囲の知識のインプットを定着できるとともに、やっていない範囲があるというケースも回避できます。
これが効率的な勉強法です。
最初に科目を全部流し見することにより一から丁寧にやっていくよりも挫折しにくいという効果があります。
なお、短答対策をしてある程度慣れてから論文必須対策にとりかかりましょう。
短答対策と論文試験記述式(必須)の対策はまとめで記事を貼り付けています。
5.弁理士試験の各科目ごとの勉強攻略法
次に各科目ごとの攻略法に触れておきます。
1.意匠と商標
まず最初にとりかかりましょう。これらは得点源にすべきです。
筆者は、担当でこれらを8割とり、論文試験の結果もAでした。
ぶっちゃけ一発合格できたのは、意匠と商標をしっかりと勉強したおかげといってもいいです。
特許実用新案は範囲が膨大であるのに対し、意匠と商標は、比較してそれほどでもなくとりかかりやすいです。
また意匠はデザインを保護対象とするものであるのに対し、商標はロゴ・マークを保護対象とするものであり、特許と比べてなじみやすく学べば学ぶほど面白い科目です。
これらの2科目を好きになることが合格で重要です。
商標は2条と4条が山ですがこれを過ぎると楽ですよ。
2.不正競争防止法
得点源にしやすいです。
理由は条文の数が少ないのと、条文がほかのものと比較して平易なものが多いです。
3.著作権
範囲が広すぎであり、やりすぎないようにしましょう。
過去問だけで不慣れなら、入門書1冊用意してそれをマスターしてみるのもいいです。
得点源として期待はあまりしないほうがよいです。
4.特許実用新案
範囲が広すぎですが、しっかりと勉強しましょう。
論文試験では、出願に関する問題が1問、審判・訴訟に関する問題が1問必ず出ます。
そして、184条を絡めてくることも多いので、これらの分野はしっかりと勉強しておきましょう。
5.条約
パリ条約が比較的得点源にしやすいです。
一方実務未経験だとPCT条約は難しく感じるかもしれません。
足きりにならない程度に条約はパリ条約、マドプロの2つを重点的に勉強しましょう。
6.弁理士試験の短答・論文必須・論文選択・口述試験の勉強法
弁理士試験の短答・論文必須・選択・口述試験の勉強は別記事で紹介しています。
・弁理士試験の短答対策攻略法
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弁理士試験の短答試験攻略方法を1発合格した弁理士が解説します
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・弁理士試験の論文式記述問題(必須)の攻略法
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弁理士試験の論文の攻略法を論文必須に1発合格した弁理士が教えます
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・弁理士試験の論文式記述問題(選択)の攻略法
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弁理士試験の選択科目は何を選ぶべきか!?|弁理士試験合格者が答えます
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・弁理士試験の口述試験の攻略法
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弁理士の口述対策を一発合格者が解説【1番怖いのは〇〇すること】
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7.弁理士試験の勉強時間と勉強法のまとめ
①「俯瞰(ふかん)」
基礎講座(入門講座)を科目全部(特許実用新案、意匠、商標、・・・)流し見する。
②「仰視」
各科目の一単元ごとに、動画を見直して知識をインプットする
その都度過去問を解いてアウトプットする
※このインプットとアウトプットを一単元ごとにやって全てを終わらせる(セットする)
※この過程で、動画で学んだことや、過去問を解いたことの要約を四法対照に書き込んでいく。
③「反復」
セットを繰り返す。
※繰り返すときにわかったところは飛ばし、わからないところをしらみつぶしにつぶしていく。そして試験本番にのぞむ。
・必要なもの
1.四法対照法令集
2.青本(工業所有権法逐次解説)
3.知的財産法判例教室
4.短答式過去問集
5.通信講座
通信講座はこちらの記事で紹介していますのであなたに合ったものを選びましょう。
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【2021年】弁理士試験の予備校・通信講座を合格者が比較【格安あり】
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筆者としてはこれらの中でも資格スクエアの弁理士講座をおすすめします。
俯瞰仰視反復がよくわからないという質問がありましたのでここで質問と回答をまとめます。(質問の内容は一部修正)

基礎講座をノート取りながら、ちまちま進めているのですが、中々進まず(わからないところをそのたびに調べているからです)今後の見通しが全く経ちません。
なので、どうやって勉強すればいいのか、アドバイスを頂きたいです。
来年の受験で一発合格したいのですが、どういうスケジュールですすめばいいでしょうか。
また、弁理士山さんのブログに、まず俯瞰、基礎講座を聞き流す、と書いてありますが、これはとりあえずノート取らずに進み、もう一回見るときにノート取る、ということでいいんでしょうか?
2周したら覚えられなくても仰視に進むんですか?

入門講座を流し見でもよいので全て見ます。
これが俯瞰です。ここでわからないところがあっても気にせずすすめます。
全ての範囲を流し見した後に、一単元ごとに基礎講座を見て必要な知識をインプットしつつ、問題を解いていきます。
これが仰視です。このときわからないところがあってもチェックを入れる程度先へすすめます。
そして、全ての単元を終えたら、同じこと(仰視)を繰り返します。
できなかったところだけを解き直ししらみつぶしていくイメージです。これが反復です。
ノートは個人的におすすめしません。ノートの代わりに四法対照をメモ代わりにすればよいです。
ノートは長続きしません。
弁理士試験は大学受験よりも長丁場であることが多くノートを丁寧にとるだけで時間をロスしてしまいます。
また確認用に持ち歩くものは必要最小限にとどめるべきです。基本書とノートとしたとき、ノートを持ち歩くのを忘れるとそれだけでやる気もなくなります。
俯瞰:仰視:反復の勉強配分は1:3:8の目安です。