とある士業の知的な日常

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【英語】特許翻訳におすすめの本を紹介する

僕は、とある法律事務所で働く士業男子🙈

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僕は、仕事で特許明細書を作成しますが、特許翻訳もしています。

そして、僕は、特許翻訳のスキルを高めるためにいくつかの本を参考にしてきました。

そこで、今回は、特許翻訳におすすめの本を紹介したいと思います。

この記事を読むメリット

・特許翻訳のイメージがわかる。

・特許翻訳を始めようと思っている方や、始めているけどうまく上達しない方におすすめの本がわかる。

 

目次です。

特許翻訳におすすめの本

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特許翻訳とは

 まずはじめに特許翻訳について下図を用いて簡単に説明します。

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 特許翻訳とは、特許の出願、審査など特許を取得する過程で生じるさまざまな書面の翻訳です。例えば、特許出願するためには、特許明細書が必要です。日本で特許を取得する場合には、特許明細書は日本語でよいのですが、米国等の英語圏の外国で特許を取得する場合には、特許明細書を和文から英訳にして提出する必要があります。一方で、この逆の場合もあります。すなわち、米国等の英語圏の外国人が日本で特許を取得する場合には、英文の特許明細書を和文にして提出する必要があります。このように出願人と特許庁が異なる言語圏にあるとき翻訳が発生します。

 また、特許庁の審査官は、提出された特許明細書を元に特許を与えてもよいか否かを検討します。ここで、審査官が特許を与えることができないと判断したときは、その書類(拒絶理由通知書といいます。)を出願人に送ります。ここで、出願人が、外国人で、出願先が日本の特許庁である場合には、日本語を理解できない出願人のために、その拒絶理由通知書を和文から英文に翻訳する必要があります。この過程においても翻訳が発生します。

 更に、出願人は、特許を与えることができないとする審査官の判断に対して反論するための書類(応答書といいます。)を提出する必要があります。この過程においても、和訳から英訳への翻訳(あるいは英訳から和訳への翻訳)が発生します。そして、審査官が特許を認めるまで、審査官と出願人との書類でのやり取りが続きます。

 このように、特許を取得する過程で、翻訳の需要性は非常に高いものです。

 特許翻訳のイメージ

 また、特許翻訳のイメージを簡単に説明します。特許翻訳のイメージは、下図のように、技術分野(例えば、化学、バイオ、電気、機械医学等)の翻訳と、法律分野(特許法)の翻訳をオーバーラップしたようなイメージです。

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実は特許翻訳の敷居は低い

 そうすると、特許翻訳は、技術翻訳と法律翻訳を組み合わせたようなものだから難しそうと思うかもしれません。しかし、技術については深く勉強する必要がなく、入門者向けの本を見るくらいで十分対応できます。このため、文系の方でも十分対応可能です。また、法律についても特許法の知識があると好ましいですが、和文(あるいは英文)を忠実に訳することができれば、必ずしも必要というわけではありません。また、特許翻訳(英訳)は、特許翻訳特有のフレーズを用いるため最初は混乱するかもしれません。しかし、換言すれば、特許翻訳では、これら特有のフレーズさえ覚えていけば、十分対応可能です。このため、特許翻訳は、敷居が高そうに見えて、意外と敷居が低いものです。 

外国出願のための特許翻訳英文作成教本

外国出願のための特許翻訳英文作成教本

外国出願のための特許翻訳英文作成教本

 

 

おすすめ度 ☆☆☆☆☆

難易度   ☆☆☆☆

 英文特許明細書の作成において、信頼性を高めるために、3つの概念(正確性、明確性、簡潔性)が重要です。これらの概念の英語の頭文字がC(correct,clear,concise)であることからこれらの3つの概念を3Cと呼びます。正確性とは誤字脱字がないことであり、明確性とは、余計な解釈が生じないことであり、簡潔性とは、無駄な言葉を使わずに最小限の語数で必要事項を伝えることです。

 本書では、まず、前半部分において、3Cを踏まえて英訳するための手法を紹介し、続いて後半部分において、実際の英文特許明細書を用いながら、特許明細書のごとに、前半部分で紹介した手法を用いた英訳例を紹介しています。このため、本書を通じて、3Cを意識した英文明細書の作成方法を学ぶことができます。但し、この手法を用いた英訳は、直訳でなく頭を考えて訳す必要がありますので、入門者には難しいかもしれません。

 SVOの文型と「無生物主語」を組み合わせて、英訳する

 本書で3Cを踏まえた英訳の手法のうち、興味深いものを一つを紹介します。それは、あらゆる和文を、SVOの文型と「無生物主語」を組み合わせて、英訳してみることです。SVOの文型とは、主語(S)+動詞(V)+目的語(O)の組み合わせであり、「何かが(主語)、何か(目的語)をする(動詞)」です。英文の型には、5つの型(SV、SVC、SVO、SVOO、SVOC)がありますが、これらの型の中でも、SVOが最も強い表現であり、明確な印象を与えるようです。そして、このSVOの型を使うことにより、語数が減りますので簡潔に英訳できます。

 例えば、以下の和文を英訳することを考えてみます。

 コンピュータの優れた処理力のおかげで、生産能力が高まった。

 これを直訳してみると、以下のようになります。

 Due to the porcessing capabilities of computer systems, the productivity of workers have increased.  

 直訳すると、このような英文になるかと思います。この場合、複文が生じて、分かりにくい文です。これをSVOと無生物主語の組み合わせで書き換えてみると、以下のようになります。

 The processing capabilities of computers have increased the productivity of workers .    

 Processing capabilitiesという概念を無生物主語に、SVOを使っています。この場合、因果関係が明確であり、単文なので簡潔な印象を与えます。

 このように、3Cを意識した英訳では、無生物主語とSVOを組み合わせることが重要です。

 

特許翻訳のテクニック

弁理士が基礎から教える 特許翻訳のテクニック<第2版>

弁理士が基礎から教える 特許翻訳のテクニック<第2版>

 

 

おすすめ度 ☆☆☆☆

難易度   ☆☆☆

 「実は特許翻訳の敷居は低い」の項目でも触れましたが、特許翻訳では、特有(頻出)のフレーズさえ覚えていけば、十分対応可能です。そして、本書では、その特有(頻出)のフレーズを網羅的に説明しています。このようなフレーズとして、例えば、特許翻訳では、"fail to"が頻繁に登場します。これは、「~しない」という意味で、"not"と似たような使われ方をします。特許翻訳では、notのように直接的な否定の語の使用を避けますので、このような"fail to"が使われます。

 このような特有(頻出)のフレーズを網羅的に説明しているので、入門者の方は、まず本書を手にしてその特有のフレーズを身に着けることから始めてもよいと思います。

特許英語表現文例集

外国特許出願のための  特許英語 表現文例集

外国特許出願のための 特許英語 表現文例集

 

 

おすすめ度 ☆☆☆

難易度   ☆☆☆

 本書では、特許翻訳において、使用頻度の高い英単語を138語選び、これらの英単語の各英単語を用いた英文例を5~6つ紹介しています。この英文例は、実際に用いられる実践的な英文です。本書は、英文例から表現を借りたい場合に有効と思います。英訳において、他の人の書いたしっかりした英文を借りる(英借する)ことも効率的であり重要です。そして、本書は、実践的かつ豊富な英文例が記載されていますので、英借する際に役立ちます。但し、学習向けではなく、辞書代わりに使うのがよいと思います。

特許の英語表現・文例集

特許の英語表現・文例集 増補改訂版 (KS語学専門書)

特許の英語表現・文例集 増補改訂版 (KS語学専門書)

  • 作者: W. C・ローランド,奥山尚一,N・マッカードル,J. T・ムラオカ,時國滋夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/02/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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おすすめ度 ☆☆☆

難易度   ☆☆☆

 本書もまた、「特許翻訳のテクニック」同様、その特有(頻出)のフレーズを網羅的に説明しています。「特許翻訳のテクニック」よりも、そのフレーズの数は豊富なので、必要に応じて、本書でフレーズの語彙力を更に高めてもよいと思います。

 

特許翻訳の実務

特許翻訳の実務 英文明細書・特許法のキーポイント (KS語学専門書)

特許翻訳の実務 英文明細書・特許法のキーポイント (KS語学専門書)

 

 

おすすめ度 ☆☆☆

難易度   ☆☆☆

 本書は、英訳の手法よりも、特許翻訳の仕事の概要を詳しく書いてあったり、翻訳者向けに特許法上の基本的な知識を紹介しています。また、ここでは詳細な説明を省きますが、特許明細書にはクレームと呼ばれる、発明の概念を表現するためのパーツがあるのですが、このクレームについても基本的な説明がなされています。このため、特許翻訳の具体的なイメージを把握したい方はまずこれを読んでみるのがよいと思います。

まとめ

 

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 いかがでしたか。特許翻訳を始めようと思っている方や、始めたばかりの方は今回紹介した本で勉強してみてはいかがでしょうか。

以上